監修:特定社会保険労務士 馬場栄
今週のピックアップ
【労務情報】
◆ 子の看護休暇・介護休暇とは?
◆ 育児・介護休業法の改正内容について
◆ 子の看護休暇に関する調査結果
【KING OF TIME 情報】
◆ 時間単位休暇を取得するための設定
◆ 時間単位休暇取得時の「みなし勤務時間」
子の看護休暇・介護休暇とは?
現在、育児・介護休業法では以下の通り、労働者から請求があった場合には、休暇を与える必要があります。
1.子の看護休暇
【対象者】
小学校就学前までの子を養育する全ての男女労働者(日雇労働者は除く)
ただし、労使協定を締結することで『勤続6か月未満の労働者』や『週の所定労働日数が2日以下の労働者』を対象から除くことが可能。
【休暇の日数】
子が1人であれば年5日まで。2人以上であれば年10日まで取得可能。
2.介護休暇
【対象者】
要介護状態にある対象家族(※)の介護、その他の世話を行う労働者
(日雇い労働者は除く)
(※) ①配偶者、②父母、③子、④配偶者の父母、⑤同居かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹および孫
こちらも、労使協定を締結することで『勤続6か月未満の労働者』や『週の所定労働日数が2日以下の労働者』を対象から除くことが可能。
【休暇の日数】
対象家族が1人であれば年5日まで。2人以上であれば年10日まで取得可能。
子の看護休暇、介護休暇共に、取得単位は「1日」または「半日」を原則とし、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者等は「1日単位」での取得のみとすることが可能です。
※年は原則4月1日~翌年3月31日、会社が就業規則などで別に定めた場合はその1年間となります。(例えば1月1日~12月31日など)
育児・介護休業法の改正内容について
従来の取得単位は「1日」「半日」のみでしたが、仕事と育児の両立支援等を目的に、今回の法改正で新たに「時間単位」の取得が可能になりました。
施行日は令和3年1月1日からとなります。
1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は、「1日単位」のみでしか取得できませんでしたが、「時間単位」についてはそのような労働者も含め、全ての労働者が取得可能となります。
なお、「時間単位」とは、1時間の整数倍の時間をいいます。
労働者の申し出に応じ、労働者の希望する時間数で取得させる必要があります。
よって、例えば会社のルールとして、「2時間単位での取得のみを認め、1時間単位の取得は認めない」といった運用はNGとなります。
時間単位で取得できる休暇の時間数は、年次有給休暇と同じく、
1日の所定労働時間数(※)に相当する時間数×年5日(10日)分です。
例えば、1日の所定労働時間数が8時間の場合は、年40時間分、取得可能(8時間取得すると1日分取得したものとして取り扱うこと)となります。
1日の所定労働時間数に1時間に満たない端数がある場合には、端数を時間単位に切り上げる必要があります。
例えば、1日の所定労働時間数が7時間 30分の場合、「30分」という端数を切り上げて、8時間分の 休暇で「1日分」となります。
(※)「1日の所定労働時間数」は、日によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1日平均所定労働時間数となります。1年間における総所定労働時間数が決まっていない場合には、所定労働時間数が決まっている期間における1日平均所定労働時間数となります。
また、法令で求められているのは、「中抜け(※)」なしの時間単位休暇となります。
(※)「中抜け」とは、就業時間の途中から時間単位の休暇を取得し、就業時間の途中に再び戻ることをいいます。
<法令で求められている、子の看護休暇・介護休暇の取らせ方>
一方、中抜けを認めることで労働者の利便性も向上することから、法令では必須ではありませんが、中抜けを認めるよう配慮してくださいとなっております。
<配慮するようにしている、子の看護休暇・介護休暇の取らせ方>
その他ケースごとのQ&Aもリリースされておりますので、ご参考下さい。
☞ 子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります!
☞ 子の看護休暇・介護休暇の時間単位での取得に関するQ&A
子の看護休暇に関する調査結果
厚生労働省が行った雇用均等基本調査(平成30年度)を基に、世間での取得状況等を確認したいと思います。
1.事業所単位での取得状況
前回調査(平成26年度)では、小学校就学前までの子を持つ労働者がいる事業所のうち、子の看護休暇の取得者がいた事業所の割合は「20.4%」でしたが、直近調査では「51.5%」と、倍以上の取得率となりました。
また、以前は「女性のみ取得」が圧倒的に多かったのですが、「男女ともに取得」の割合が毎年増えていることも、注目すべき点です。
看護休暇は、以前は認知度が低い制度でしたが、世間にだいぶ浸透してきたものと思われます。
2.賃金の取扱い
法律では、労働者が請求した場合に、子の看護休暇を与えることを会社に義務付けているのみで、休暇取得時の賃金を保障することまでは求めておりません。
ノーワーク・ノーペイということです。(介護休暇も同様です)
調査結果では、約65%の事業所で「無給」としております。
有給の休暇を希望するのであれば、「年次有給休暇」を取得しているということが推測されます。
☞ 平成30年度雇用均等基本調査
有給の年次有給休暇を請求するか、無給の看護休暇を請求するかは、労働者の選択となりますので、看護休暇の賃金を敢えて「有給」としなくても、問題は無いかと思います。
なお、「1日」「半日」「時間」という取得単位の種類は、年次有給休暇と子の看護休暇・介護休暇共に同じですが、以下の通り運用ルールが異なっている部分がありますのでご注意下さい。
KING OF TIME 情報
今回は、以下の2点についてご案内します。
◆ 時間単位休暇を取得するための設定
◆ 時間単位休暇取得時の「みなし勤務時間」
時間単位休暇を取得するための設定
時間単位休暇を取得する場合、以下2点の設定が必要です。
・雇用区分/従業員設定 > 日の契約労働時間
・休暇区分設定 > 時間単位休暇:使用する
設定を行なうと、従業員が時間単位での休暇取得を申請できます。
法改正「子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得」が今年3月1日に施行されます。
KING OF TIME上で「子の看護休暇」「介護休暇」を管理されている場合、予め、設定方法と取得方法をご確認ください。
☞ 有休などの休暇を時間単位で取得できますか?
時間単位休暇取得時のみなし勤務時間
時間単位休暇を取得した場合、「みなし勤務時間」を計上するかどうかを休暇区分ごとに設定できます。
※みなし勤務時間……休んだ分もお給料を支払う場合(年次有給休暇 など)、休暇分も所定時間に加算できます。
ご希望の設定になっているか、予めご確認ください。
☞ 特定の休暇のみ、半日休暇・時間単位休暇のみなし勤務時間を加算させないようにできますか?
本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
次回は「賃金請求権の時効」について、お伝えする予定です。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。