監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄
今週のピックアップ
【労務情報】
◆ 現在(法改正前)の短時間労働者の社会保険適用のルール
◆ 法改正の内容は?いつから新ルールが適用される?
◆ 101人以上、51人以上の判断はどのように行う?
◆ 4分の3基準はどのように判断する?
【KING OF TIME 情報】
◆ 時短勤務の従業員の管理
◆ 短時間労働者の有休付与
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》
現在(法改正前)の短時間労働者の社会保険適用のルール
最近の労務分野では新型コロナウイルス関連の話題が中心ではありますが、一方で企業実務に大きな影響を与える法改正が国会で成立しており、その1つとして短時間労働者の社会保険適用拡大に関する法改正があります。
現在(法改正前)の短時間労働者の社会保険適用のルールは、以下の通りです。
◎ 常時500人以下の被保険者を使用する企業の場合
「週の所定労働時間」および「1か月の所定労働日数」が、同一の事業所に使用される通常の労働者(いわゆる正社員)の所定労働時間および所定労働に数の4分の3以上の者が対象。
◎ 常時501人以上の被保険者を使用する企業の場合(特定適用事業所)
4分の3基準を満たさない場合でも、以下①~④の要件を満たす者は対象。
(1)週の所定労働時間が20時間以上
(2)賃金の月額が8.8万円以上
(3)学生でない
(4)雇用期間が継続して1年以上見込まれる
法改正の内容は? いつから新ルールが適用される?
先般の国会で成立しました法改正内容とスケジュールは、以下の通りとなります。
◎ 2022年(令和4年)10月からの新ルール
・特定適用事業所の企業規模要件が「501人以上」から「101人以上」の被保険者を使用する企業に拡大
・雇用期間が継続して「1年以上」から「2か月以上」見込まれる者に拡大
◎ 2024年(令和6年)10月からの新ルール
・特定適用事業所の企業規模要件が「101人以上」から「51人以上」の被保険者を使用する企業に更に拡大
社会保険の被保険者になることのメリットは沢山ありますが、一方で被保険者になることでのコスト増の問題も決して見逃せません。企業規模要件の人数にギリギリ満たない被保険者を使用する会社は、きちんと人数を管理する必要があります。
101人以上、51人以上の判断はどのように行う?
上記の通り、企業規模要件の判断は、その会社の常時使用する労働者数ではなく「社会保険の被保険者数」で判断します。法人の場合、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に使用される社会保険の被保険者数で判断することになります。
例えば、従業員数が120名の会社で、うち60名は正社員(被保険者)。残り60名はパート社員で、うち20名が被保険者、40名は被保険者ではない企業の場合は、特定適用事業所には該当せず、従来通り4分の3基準で判断することになります。
たまたま、ある月の被保険者数が101人(もしくは51人)以上となったとしても、すぐに特定適用事業所になる訳ではありません。12か月のうち、6か月以上の期間が101人(もしくは51人)以上となることが見込まれる場合に特定適用事業所となります。
なお、特定適用事業所となった場合は、その後被保険者数の企業規模要件人数を下回ったとしても、引き続き特定適用事業所のままになります。旧ルールの適用に戻る訳ではありません。(使用される被保険者の4分の3以上の同意を得れば、特定適用事業所に該当しなくなる取扱いも可能)
特定適用事業所に現在該当していない会社については、自社で使用する社員のうち、被保険者数が何人いるのか? 言い換えますと、4分の3基準を満たす社員が何人いるのか?について、きちんと把握することが重要ということです。
4分の3基準はどのように判断する?
4分の3基準に該当するか否かの判断は、就業規則や雇用契約書等で定められた所定労働時間および所定労働日数に即して判断することになります。
では、就業規則や雇用契約書等で定められた所定労働時間または所定労働日数は4分の3基準を満たしていない短時間労働者が、業務の都合などにより実際の労働時間や労働日数が4分の3基準を満たした場合は、どのように判断すればいいでしょうか?
この場合は、実際の労働時間および労働日数が、連続する2か月において4分の3基準を満たした場合で、引き続き同じ状態が続いている、または続くことが見込まれるのであれば、4分の3基準を満たした月の3か月目の初日に被保険者資格を取得することになります。
今まで私どもが就業規則の見直しに携わった会社の中で、就業規則や雇用契約書等の形式上では4分の3基準を満たしていないものの、実態は残業などもあり4分の3基準を満たしているにもかかわらず、社会保険の被保険者としていないケースも散見されました。
年金事務所の調査で指摘を受けないためにも、基準を満たすのであれば社会保険の被保険者とする、もしくは基準を満たさないように労働時間をきちんと管理することが、今後より重要となってきます。
特に労働時間管理については、KING OF TIMEのアラート機能を活用することも有効です。
KING OF TIME 情報
今回は短時間労働の従業員の管理方法についてご案内したいと思います。
◆ 時短勤務の従業員の管理
◆ 短時間労働者の有休付与
時短勤務の従業員の管理
認証登録はできたのに打刻が行えない、といったお問い合わせをいただくことがあります。
打刻ができない場合にはさまざまな原因が考えられますが、例として、いくつかの原因と対処方法をまとめたFAQをご紹介いたします。
☞ 時短勤務の従業員の管理はできますか?
短時間労働者の有休付与
労働基準法によると、有休の比例付与は、以下の条件を満たす従業員に対して適用されます。
・週所定労働時間が30時間未満
・週所定労働日数が4日以下、または年間所定労働日数が216日以下
これに対応し、本システムで「有給休暇付与機能」を使用した場合は、週の所定時間が30時間未満の場合に限り、比例付与が適用されます。
☞ 短時間労働者の有休付与基準はどうなりますか?
本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
次回は「コロナをきっかけに「副業」の注目度がUP ~企業が注意すべき点。これからの法改正は?~」についてお伝えする予定です。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。