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労務情報

間違えて運用していませんか? 振替休日・代休の運用

公開日:2020年10月8日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄


間違えて運用していませんか? 振替休日・代休の運用

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 代休を与えることは義務ではない
◆ 同一週内で、休日の振替を行う場合
◆ 同一週内で、代休取得を行う場合
◆ 間違いやすい、時間外割増・賃金相殺の運用
◆ 翌週以降で、休日の振替を行う場合
◆ 翌週以降で、代休を行う場合
◆ 代休に取得期限を設けることは可能?


【KING OF TIME 情報】
◆「振休」機能
◆「代休」機能
◆ 振替休日や代休の残日数が変わらない場合
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


代休を与えることは義務ではない

休日の振替とは「事前に、休日と定められている日を労働日とし、代わりに他の労働日を休日とする」ことをいいます。
一方で代休とは「事前に休日の振替は行わず、休日労働をさせた後に、その代償として他の労働日に休ませる」ことをいいます。

共に、もともと休日であった日に労働をさせるということに生じるお休み、ということには変わりはありませんが、どちらのルールを利用するかで、労働基準法に定められている割増賃金の支払いに差が生じることになります。

ちなみに、労働基準法では「休日の振替」については規定していますが、「代休」については規定していません。つまり、代休制度を設けるか否か、設けるのであればどのような社内ルールとするかは、会社が自由に決められるということです。

よって、社内ルールで代休制度を設けない。つまり、就業規則に代休制度を記載していない会社で、休日出勤した労働者から代休を取得させてほしいと言われても、取得させる義務はないということです。

それでは、以下の前提条件として、具体例を見ながら「休日の振替」と「代休」の違いについて解説したいと思います。

<前提条件>
・日曜が法定休日、土曜は法定外休日(月~金曜は労働日)
・1日の労働時間は8時間
・変形労働時間制は導入していない


同一週内で、休日の振替を行う場合

日曜(法定休日)に労働者を出勤させる必要があるので、日曜と同一週内の水曜を事前に振り替えました。 振り替えたことによって日曜は法定休日⇒ 労働日となりましたので、日曜の労働8時間は休日労働とはなりません。よって、この8時間に対して会社は休日割増(35%)を支払う必要はないということです。

同一週内での休日の振替・割増賃金のイメージ

同一週内で、代休取得を行う場合

先程と同様に、日曜(法定休日)に労働者を出勤させる必要がありますが、事前に休日の振替は行わず、日曜に休日出勤させ、同一週の水曜に代休を取得させました。

日曜は法定休日のままですので、日曜の労働8時間は休日労働となります。
よって、この8時間に対して会社は休日割増(35%)を支払う必要があります。
つまり「単価×1.35×8時間」を支払う必要があるということです。

同一週内での代休・割増賃金のイメージ

このように、休日の振替と代休では、休日割増に関する取扱いが変わってくるということです。


間違いやすい、時間外割増・賃金相殺の運用

会社は、休日割増の他に、1日8時間/週40時間の法定労働時間を超えて働かせた場合、時間外割増(25%)を支払う必要があります。

休日の振替、代休を運用する際に、時間外割増の計算や、後に休日を取得させた場合の賃金控除の計算について、誤って運用している企業は決して少なくない印象です。

典型的な間違った運用は、翌週以降に振替休日や代休を取得させたら、賃金は±0となり会社として追加で賃金を支払わなくてもよい。と運用していることです。

以下、実務上で多いと思われる、翌週以降に振替休日・代休を取得するパターンでの割増賃金の考え方について解説したいと思います。


翌週以降で、休日の振替を行う場合

第1週の日曜(法定休日)に労働者を出勤させる必要がありますが、同一週内での休日の振替が出来ないので、第2週の水曜を事前に振り替えました。

第1週の日曜(法定休日)と、第2週の水曜を振り替えた場合 翌週以降で、休日の振替を行う場合

振り替えたことによって第1週の日曜は法定休日⇒ 労働日となりましたので、日曜の労働8時間は休日労働とはなりません。よって、この8時間に対して会社は休日割増(35%)を支払う必要はないということになります。

では、第1週の時間外割増(25%)はどうでしょうか?
第1週は、48時間(日・月・火・水・木・金の8時間)働いています。日曜は休日の振替で労働日となりましたので、時間外割増を考える際には含める必要があります。

ということは、週40時間を超えて働かせたことになりますので、時間外割増の支払いが必要になります。つまり、「単価×1.25×8時間」の支払いが必要になるということです。

なお、第1週の日曜と、第2週の水曜を振り替えておりますので、その月の所定労働日数には変動がありません。よって、一般的に固定給として月額賃金を支払っている会社であれば、本来であれば第2週の水曜に支払う「単価×1.00×8時間」の賃金を、第1週の日曜に支払ったと考えられますので、最終的には差額の「単価×0.25×8時間」を追加で支払えばよいということになります。

同一週内での休日の振替であれば、休日割増・時間外割増共に考慮する必要はありませんでしたが、翌週以降に休日の振替を行うのであれば、時間外割増を考慮する必要があるということです。


翌週以降で、代休を行う場合

先程と同様に、第1週の日曜(法定休日)に労働者を出勤させる必要がありますが、事前に休日の振替は行わず、第1週日曜に休日出勤させ、第2週の水曜に代休を取得させました。

第1週の日曜(法定休日)に休日出勤。第2週の水曜に代休を与えた場合 同一週内で、代休取得を行う場合

第1週日曜は法定休日のままですので、日曜の労働8時間は休日労働となります。よって、この8時間に対して会社は休日割増(35%)を支払う必要があります。
つまり「単価×1.35×8時間」を支払う必要があるということです。

では、第1週の時間外割増(25%)はどうでしょうか?
第1週は、40時間(月・火・水・木・金の8時間)働いています。なお、日曜の労働は休日労働(35%割増の支払いが必要な労働時間)としてカウントしておりますので、時間外割増を考える際には除いて考えます。

よって、第1週は時間外割増の支払いは必要がなく、休日割増の支払いのみ必要ということです。

次に、第2週の水曜はもともと労働日でしたが、代休を取得させました。
よって、ノーワーク・ノーペイの原則が適用され、その日の賃金は支払う必要がないということです。
つまり「単価×1.00×8時間」の賃金控除が可能ということになります。

よって、
・第1週日曜の割増:単価×1.35×8時間 を支払う
・第2週水曜の控除:単価×1.00×8時間 を控除できる

これらを相殺することが出来ますので、最終的には差額の「単価×0.35×8時間」を追加で支払えばよいということになります。

なお、この相殺を行うためには、就業規則上の根拠が必要です。
就業規則に「代休を取得した場合に相殺する」旨の記載がないと、このような相殺は行えませんので、ご注意ください。

振替休日、代休を取得させたとしても、それが翌週以降であれば追加の賃金支払いが必要であることをご理解いただけたかと思います。一方で、そのような場合でも賃金を±0としているケースが決して少なくありません。そのような運用は、会社が支払うべき賃金が未払いとなっているということを意味します。


代休に取得期限を設けることは可能?

労働基準法では、休日の振替については規定していますが、代休については規定していません。つまり、代休制度を設けるか否かは、会社が自由に決められるということを説明しました。

代休制度を設ける場合は、就業規則にルールを定めることになります。
前述の通り、代休について労基法で規定はありませんので、例えば「代休の取得期限は、休日出勤をした月の翌月以内とする」というルールを設けることも全く問題ありません。

しかし、この運用には注意が必要です。
就業規則に代休の取得期限を設けたところで、仮にその取得期限を過ぎたとしても、これまでご説明した割増賃金の支払いまでもが免除される訳ではありません。

割増賃金を支払っていない場合は、会社の未払い賃金債務として5年間(当面の間は3年間)残り続けるということになります。

事前に休日の振替をしたものの、忙しくて振替休日が取得出来なかった、もしくは代休を取得できなかったため、未消化の振休・代休が残ってしまっている。一方で、後日に振休・代休を取得することを見越して、本来支払うべき賃金を支払っていないというケースも珍しくはありません。

企業としてコンプライアンスを確保するためにも、その給与計算期間内で振休・代休が取得出来ないのであれば、いったんは労基法に沿った賃金を支払い、後に振休・代休を取得できた場合に賃金控除を行うことをお勧めします。



KING OF TIME 情報


今回は、振替休日・代休の運用に関する機能についてご案内いたします。

◆「振休」機能
◆「代休」機能
◆ 振替休日や代休の残日数が変わらない場合



「振休」機能

本システムには「振替出勤日」と設定した日に指定時間以上の勤務が発生すると、自動的に振替休日を付与する機能がございます。
勤務データ編集画面やスケジュール登録画面で、対象日に振休パターンを割り当てると、残日数から1日引かれます。
※法定休日を振り替える場合は、暦日単位でしか振り替えできません。ご注意ください。

「振休」機能


■ 参考|【振休(旧機能)】振替出勤後に振替休日を付与する方法(オンラインヘルプ)



「代休」機能

休暇区分設定では、休日に指定時間以上の勤務が発生した場合に代休を自動的に付与するよう設定できます。
代休を取得するには、勤務データ編集画面やスケジュール登録画面で、対象日に代休パターンを割り当てると、残日数から1日引かれます。

「代休」機能

■ 参考|【代休】設定方法 / 取得方法(オンラインヘルプ)



振替休日や代休の残日数が変わらない場合

振替休日・代休が付与されない場合は、以下のコンテンツを参考に、まずは休暇区分設定をご確認いただくよう、お願いいたします。

振替休日や代休の残日数が変わらない場合

■ 参考|【代休】休日出勤しても付与されない場合の原因と対処方法(オンラインヘルプ)



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
次回は、「 有給休暇の取得は進んでいますか? ~有休5日取得義務化から1年半、制度を改めてチェック!~ (前半)」についてお伝えする予定です。

今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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