監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄
今週のピックアップ
【労務情報】
◆ 有休5日を取得させる方法
◆ ➀ 従業員からの請求により取得させる方法
◆ ➁ 会社主導で有休を取得させる方法
◆ まとまった休みのある会社なら「計画的付与」を活用しよう
◆「時季指定」とは?
◆ 社内ルールの整備
【KING OF TIME 情報】
◆ 勤怠確認機能とは
◆ 管理画面での設定方法
◆ 従業員画面での操作
◆ 管理画面での確認方法
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》
有休5日を取得させる方法
有休を取得させる方法は、大きく2つに分けられます。
➀ 従業員からの請求により取得させる方法
➁ 会社主導で取得させる方法
従業員からの請求(自由意思)で取得させる方法が主流ですが、有休の義務化に伴い、会社主導で取得させる方法を取り入れる会社も増えてきています。
➀ 従業員からの請求により取得させる方法
有休は、基本的には従業員本人の自由意思で取得することができます。
そのため、会社は従業員からの請求に基づき、取得させる必要があります。
■ メリット・デメリット
<メリット>
・本人の自由意思なので、就業規則や労使協定等で細かいルールの設定が不要
<デメリット>
・繁忙期での取得をコントロールしにくい
・従業員任せとなるため、取得してないケースなど管理が大変
従業員が有休5日を自主的に取得してくれれば、会社は苦労せずに義務を果たせますが、会社が有休を取ってもらおうとしても、従業員がなかなか取得してくれないケースもあります。
下記の調査結果を見てみると、従業員が取得しない理由には、いざという時のためにとっておきたいということもありますが、有休を取得することにためらいを感じている割合も多くなっています。会社の思うように進まない原因の1つには、従業員のこうした意識によるものもあります。
<参考>厚生労働省
令和元年度「仕事と生活の調和」実現及び特別な休暇制度の促進に関する意識調査
■ 有休を取ることにためらいを感じるか否か
・感じる・・・・・・・・・・・・・・・・15.4%
・やや感じる・・・・・・・・・・・・・・40.9%
・あまり感じない・・・・・・・・・・・・29.1%
・まったく感じない・・・・・・・・・・・14.5%
■ ためらいを感じる理由(複数回答)
・みんなに迷惑がかかると感じるから・・・70.0%
・後で多忙になるから・・・・・・・・・・46.8%
・職場の雰囲気で取得しづらいから・・・・26.8%
・上司がいい顔をしないから・・・・・・・12.3%
・昇格や査定に悪い影響があるから・・・・・7.1%
・その他・・・・・・・・・・・・・・・・・7.0%
従業員の意識面で有休が取りやすい環境づくりも重要なポイントの1つとなります。
そうした際に、会社主導で有休を取得させる計画的付与制度の導入などが効果を発揮します。厚生労働省が取得の推進に際し、計画付与制度の導入が重要としているのは、こうした状況も踏まえたものとなっているわけです。
➁ 会社主導で有休を取得させる方法
会社主導型の方法は、有休の「計画的付与」と「使用者による時季指定」の2つがあります。それぞれ一長一短がありますが、会社の状況によりご検討されるとよいでしょう。
・会社全体で休みが取りやすい場合であれば「計画的付与」がお勧めです。
・従業員からの請求だけでは5日取得が達成できない場合や計画的付与が難しい場合などは「時季指定」にて行います。
まとまった休みのある会社なら「計画的付与」を活用しよう
「計画的付与」とは、有休のうち、5日を超える分について労使協定を結べば、計画的に有休を取得させることができる制度のことをいいます。
厚生労働省でも、有休取得の推進や法令順守への重要な方法として挙げているように
・従業員任せでは有休の取得が進まない
・取得義務である5日をクリアできない
加えて、
・個人ごとに5日取れているかいなか管理するのが難しい
・繁忙期に休まれると困る
などの場合で、ゴールデンウィークや夏季、年末年始などにまとまった休みを計画している会社であれば検討したい制度です。
計画付与の方法は、主に下記の3通りが挙げられます。
1.会社または事業場全体の一斉付与方式
2.班・グループ別の交替制付与方式
3.年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式
<上記 1 の全従業員に対して同一の日に有休を付与する方法>
閑散期や夏季、年末年始などに全従業員をまとめて休ませることができる会社などで活用されています。
<上記 2 の班・グループ別に交替で有休を付与する方法>
流通・サービス・飲食業など、定休日を増やすことが難しい会社で活用されています。
<上記 3 の有休を付与する日を個人別に決める方法>
夏季、年末年始など、一定の期間内で従業員ごとに有休を取得させたり、従業員の誕生日や記念日などで有休取得を進めたい会社で活用されています。
■「計画年休」のメリット、デメリット
<メリット>
・会社主導で取得を推進するので、計画立てて有休を取得させることができる
・ある程度まとまって休ませることで管理が容易になる(特に一斉付与)
<デメリット>
・休暇制度は就業規則の絶対的記載事項であるため、記載しなければならない
・労使協定の締結も必要となり、原則、毎年結びなおさなければならない(労基署届出は不要)
<参考>厚生労働省HP
☞ 年次有給休暇取得促進特設サイト
>>> 詳しくはこちら ※外部リンクに移動します
「時季指定」とは?
「時季指定」とは、会社が従業員に対して、日を決めて有休を取得させることです。
これは2019年4月の労働基準法改正で会社(使用者)に義務づけられたもので、有休付与日数が10日以上の従業員に対し、そのうちの5日については付与日(基準日)から1年以内に「使用者は労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない」とされています。これがいわゆる有休5日取得義務化と呼ばれているものです。
ただし、従業員本人の請求や計画的付与によって与えた日数は、「時季を定めることにより与えることを要しない」とされていますので、会社が時季指定しなくても、従業員が他の方法で有休を5日取得できればよいわけです。
そのため、従業員任せではなかなか有休の取得が進まず、計画的付与制度の導入も難しい場合などは、「時季指定」により有休を取得させることが必要となります。
■「時季指定」を行うえでの注意点
「時季指定」は、会社の義務だからと言って、会社が一方的に日を決めて、従業員に有休を取らせるのではなく、丁寧な運用が必要です。
➀ 会社が従業員に取得時季の意見を徴収
➁ 従業員の意見を尊重し、会社が取得時季を指定する(努力義務)
職場への配慮やためらいから有休を取得しない従業員も多いため、会社が取得を働きかけるとともに、従業員の意見を聞く中で、職場や業務の状況をつかみ、会社として対応が必要なことがあれば検討・実施していきます。こうした取り組みにより、有休の取得促進のみならず、職場環境がよくなり、従業員の満足度や定着率向上にもつながっていくものと考えます。
なお、従業員の有休の取得希望時季を聞いた結果、業務の繁忙期にあたった場合、本人と話し合ったうえで、別日程で取得時季を指定することもできますが、そのような場合があることを就業規則に定めておきましょう。
■「時季指定」のメリット、デメリット
<メリット>
・従業員の有休の取得状況に合わせて推進ができる
・有休を個別に設定するので、柔軟に対応できる
<デメリット>
・休暇制度は就業規則の絶対的記載事項なので、記載する必要がある
・原則、個別対応のため管理が煩雑になる
<参考>厚生労働省
☞ 年次有給休暇の時季指定義務
>>> 詳しくはこちら ※外部リンクに移動します
社内ルールの整備
まずは有休5日取得義務を果たすために、以下の整備を行いましょう。
1. 就業規則に規定
有休を「計画的付与」や「時季指定」で取得させる場合、休暇に関する事項は、就業規則の絶対的記載事項であるため、就業規則に記載しておく必要があります。
「計画的付与」については、労使協定の締結も必要となります。労使協定書には、対象者、計画付与する有休の日数、付与の具体的な方法、付与日数が少ない者の扱いなどについて記載しておきます。
「時季指定」については、労使協定は不要ですが、対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載する必要があります。
また、前述した通り、従業員の意見を聴取した結果、従業員の取得希望日と会社の繁忙期がかぶってしまうこともあります。そういった場合に備えて、一度、時季指定したとしても「指定した時季について再度、従業員の意見を聴き、その意見の尊重に努めたうえで変更することがある」旨の規定を入れておくと良いでしょう。
2. 有休管理簿作成
会社は従業員ごとに有休管理簿を作成し、3年間保存することも義務づけられました。
以下は、管理簿に記載しておく必要のある項目です。
・取得時季
・取得日数および基準日
紙ベースでも、Excelやクラウドなどでも管理方法は問いませんが、必要なときにいつでも出力できる仕組みとしておく必要があります。
<参考>厚生労働省
☞ 年5日の年次有給休暇の確実な取得 ~わかりやすい解説~
>>> 詳しくはこちら ※外部リンクに移動します
KING OF TIME 情報
テレワークの導入など、多様な働き方が増えている中、以下のようなお悩みを抱えていらっしゃる管理者様も多いのではないでしょうか。
✔残業時間や打刻の申請漏れがないか、従業員に確認して欲しい
✔拠点の一般管理者に従業員の労働時間確認を促したい
✔テレワーク従業員にも労働時間を意識してもらいたい
今回は、従業員に勤怠の確認をしていただく、勤怠確認機能をご紹介いたします。
◆ 勤怠確認機能とは
◆ 管理画面での設定方法
◆ 従業員画面での操作
◆ 管理画面での確認方法
勤怠確認機能とは
従業員が自分の1か月分の勤怠を確認した旨を、管理画面に表示することができる機能です。
管理画面での設定方法
その他>オプションより「勤怠確認時の在社時間(拘束時間)表示」を「表示する」にご変更ください。
従業員画面での操作
対象期間にエラー勤務がない状態になると従業員のタイムカードに「勤怠確認済みとする」ボタンが表示されます。
そちらをクリックし、在社時間と総労働時間の差異をご確認ください。
「確認済みとする」ボタンをクリック後は従業員からの申請ができなくなります。
管理画面での確認方法
勤怠確認済みの場合、管理画面の月別データに [認] のチェックが入ります。
チェックがない従業員には、勤怠確認済みとなるまで繰り返しメール通知が可能です。
☞ 「勤怠締め」「勤怠確認申請」「勤怠確認済み」が未処理の際に、メール通知できるようになります
管理画面や従業員画面に該当のボタンが表示されていない場合には、サポートセンターへ機能追加ご希望の旨をお伝えくださいませ。
☞ お問い合わせ方法について
本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
次回は、「フレックスタイム制を検討する際のポイント ~外してはいけないフレックスのルール~」についてお伝えする予定です。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。