監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄
今週のピックアップ
【労務情報】
◆ 国税庁が在宅勤務手当の課税指針を公表
◆ 在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」国税庁より
◆「在宅勤務に通常必要な費用」を精算する方法
◆ 通信費に係る業務使用部分の計算方法
◆ 電気料金に係る業務使用部分の計算方法
◆ 割増賃金や最低賃金、労働・社会保険料の計算での取り扱いは?
【KING OF TIME 情報】
◆ 従業員設定とは
◆ 従業員が入社した際のチェックリスト
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》
国税庁が在宅勤務手当の課税指針を公表
国税庁は1月15日、在宅勤務手当の課税指針を公表しました。
新型コロナウイルス禍で広がるテレワーク拡大に対応した内容となっています。
ポイントは、今回の指針で「業務のために使用した部分を合理的に計算する方法」も示されたことです。
これにより会社が所有権を持つことを前提とした事務用品等の購入や、従業員が勤務時間内に自宅近くのレンタルオフィス等を利用して勤務を行った場合の費用の額は明確ですが、通信費や電気料金は家庭でも使用するため、業務で使用した部分との区別が難しかったところが明確にされました。
<参考>国税庁
☞ 在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)
>>> 詳しくはこちら ※外部リンクに移動します
在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」国税庁より
まず「企業が従業員に在宅勤務手当を支給した場合は、従業員の給与として課税する必要はありますか。」との問いに対して、下記のような回答となっています。
〔答〕従業員に対する給与として課税する
・必要がない場合
「在宅勤務に通常必要な費用」について、その費用の実費相当額を精算する方法により、企業が従業員に対して一定の金銭を支給した場合。
・必要がある場合
従業員が「在宅勤務に通常必要な費用」として使用しなかった場合でも、その金銭を企業に返還する必要がないもの(例えば、企業が従業員に対して毎月5,000円を渡切りで支給するもの)として、企業が従業員に在宅勤務手当を支給した場合。
「在宅勤務に通常必要な費用」を精算する方法
「在宅勤務に通常必要な費用」を精算する方法としては、以下の方法が考えられるとされています。
■ 精算方法
➀ 企業が従業員に対して、通常必要な費用として金銭を仮払いした後、(通信費・電気料金については、従業員が家事部分を含めて負担した通信費や電気料金について「業務のために使用した部分を合理的に計算」し、その計算した金額を企業に報告して)精算(仮払金額が購入費用を超過する場合には、その超過部分を企業に返還)する方法
➁ 従業員が立替払いにより購入した後、その購入に係る領収証等を企業に提出してその購入費用を精算(購入費用を企業から受領)する方法
(通信費・電気料金については、従業員が家事部分を含めて負担した通信費や電気料金について、「業務のために使用した部分を合理的に計算」し、その計算した金額を企業に報告してその精算(業務のために使用した部分の金額を受領)をする方法)
通信費に係る業務使用部分の計算方法
1.電話料金
1 – 1. 通話料(下記 1 – 2 の基本使用料を除く)について
➀ 通話明細書等の確認による方法
通話明細書等により業務のための通話に係る料金が確認できますので、その金額を企業が従業員に支給する場合には、従業員に対する給与として課税する必要はないとされています。
➁ 算式により算出する方法
なお、業務のための通話を頻繁に行う業務(例えば、営業担当や出張サポート担当など、顧客や取引先等と電話で連絡を取り合う機会が多い業務として企業が認めるもの)に従事する従業員については、上記➀で確認した料金に代えて、例えば、次の【算式】により算出したものを、業務のための通話に係る料金として差し支えないとされています。
1 – 2. 基本使用料
基本使用料などについては、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があります。 例えば、次の【算式】により算出したものを企業が従業員に支給する場合には、従業員に対する給与として課税しなくても差し支えないとされています。
2.インターネット接続に係る通信料
基本使用料やデータ通信料などについては、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があります。 例えば、次の【算式】により算出したものを企業が従業員に支給する場合には、従業員に対する給与として課税しなくても差し支えないとされています。
【算式】(業務のために使用した部分の算出方法)
業務のために使用した基本使用料や通信料等
=従業員が負担した1か月の基本使用料や通信料等×(その従業員の1か月の在宅勤務日数÷該当月の暦日数)×1/2
例)9月:在宅勤務日数20日、基本使用料や通信料1万円を負担した場合
業務のために使用した基本使用料や通信料等
=10,000 円 (負担額)× 20 日(在宅勤務日数)÷30日(9月の暦日数)×1/2
=3,334 円(1円未満切上げ)
電気料金に係る業務使用部分の計算方法
基本料金や電気使用料については、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があります。
例えば、次の【算式】により算出したものを従業員に支給した場合には、従業員に対する給与として課税しなくても差し支えないとされています。
【算式】(業務のために使用した部分の算出方法)
業務のために使用した基本料金や電気使用料
=従業員が負担した1か月の基本料金や電気使用料×(業務のために使用した部屋の床面積÷自宅の床面積)×(その従業員の1か月の在宅勤務日数÷該当月の暦日数)×1/2
※いずれも、上記の算式によらずに、より精緻な方法で業務のために使用した基本料金や電気使用料の金額を算出し、その金額を企業が従業員に支給している場合についても、従業員に対する給与として課税しなくても差し支えないとされています。
<参考>国税庁
☞ 在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)
>>> 詳しくはこちら ※外部リンクに移動します
割増賃金や最低賃金、労働・社会保険料の計算での取り扱いは?
割増賃金や最低賃金、労働・社会保険料の計算を行う際の取り扱いは手当によって異なるものもありますが、在宅勤務手当について特に具体的な記載がありません。そのため、一律定額で支給するような場合には、いずれにおいても計算の対象(含めて計算)となると言えるでしょう。
次回メルマガでは、在宅勤務手当について割増賃金や最低賃金、労働・社会保険との関係の詳細に加え、それらを計算する際に取り扱いの違う手当についてお届けいたします。
KING OF TIME 情報
今回は、従業員設定の《入社編》についてご案内いたします。
◆ 従業員設定とは
◆ 従業員が入社した際のチェックリスト
従業員設定とは
従業員の基本データを登録します。初期設定時や従業員の入退社時に行います。
また、既に登録している従業員の所属/雇用区分の異動、退職処理などの各種設定変更もここで行うことができます。
☞ 「従業員設定」とは何ですか?
従業員が入社した際のチェックリスト
従業員が入社し、従業員アカウントを新規作成する際は、以下の項目を併せてご確認ください。
1)従業員コード(必須)
従業員を識別するコードを登録します。
給与システムなどと連携し、個人データを読み込む際にご利用いただく場合があるため、既にご導入いただいているシステムの個人コードと統一されることをおすすめいたします。
2)メールアドレス
KING OF TIMEの各種通知を受け取るメールアドレスをご登録ください。
ご登録がない場合は、通知を受け取ることができかねます。
☞ 通知
3)入社年月日
有給休暇付与機能を使用しているときは、入社日を参照し勤続年数を算出いたします。
入社年月日を登録すると勤続年数に応じて付与日、付与日数を自動算出いたしますので、新規作成の際はご登録いただくことをおすすめいたします。
☞ 有給休暇付与機能とはなんですか?
4)個人タイムレコーダーへの遷移ボタン
個人タイムカード画面から、Myレコーダーの打刻画面に遷移するボタンを表示することが可能です。
PCブラウザ、スマートフォンブラウザでの打刻を許可されていない場合は、非表示をご選択ください。
☞ 従業員のタイムカードから、タイムレコーダーに戻ることはできますか?
5)タイムレコーダーURL送信
PCブラウザ、スマートフォンブラウザで利用できる個人別のタイムレコーダー情報を通知します。
☞ Myレコーダーとは何ですか?
なお、従業員へPCブラウザ、スマートフォンブラウザでの打刻はさせず、個人端末にて勤怠確認、各種申請のみさせている場合は、打刻画面のない個人別のタイムカード情報のみ通知することも可能です。
☞ タイムカードへのログイン情報を、従業員にメールで通知できますか?
本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
次回は、「在宅勤務手当は非課税?国税Q&A ~割増賃金計算、最低賃金、社会保険料との関係は?~<後編>」についてお伝えする予定です。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。