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労務情報

法律・就業規則に沿って、勤怠システムを運用出来ていますか? ~「年次有給休暇」編~

公開日:2022年6月23日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


法律・就業規則に沿って、勤怠システムを運用出来ていますか? ~「年次有給休暇」編~

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 年次有給休暇を前倒しで付与する場合のルール知っていますか
◆ 雇用形態が変わった場合の年次有給休暇はどうすべきか
◆ 年次有給休暇は労働時間としてカウントすべきか
◆ 年次有給休暇の買上げは認められるのか

【KING OF TIME 情報】
◆ 時間帯アラートとは?
◆ 18歳未満の深夜スケジュールのエラー設定
◆ 具体的な活用方法:年齢制限のない深夜スケジュールのエラー設定
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


年次有給休暇を前倒しで付与する場合のルール知っていますか

年次有休休暇のよくある運用の間違いとして、有給休暇を前倒しで付与する場合の取扱いが挙げられます。

使用者は、入社から6か月間継続勤務して、8割以上出勤した労働者に対して10日の有給休暇を付与する、というルールがあることはご存じかと思います。

☞ 参考:『年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています』(厚生労働省HP)

 >>> 詳しくはこちら

法律上は入社半年後のタイミングで有給休暇を付与すればよいです。
一方で、その間に体調不良などで欠勤した場合に賃金控除するのは可哀想だということで、福利厚生の観点で、例えば入社日に前倒しで3日付与し、残りの7日分は半年後に付与するといったケースがあります。
また、中途入社が多い会社で社員の入社日がばらばらだと、有給休暇の付与や管理が煩雑になることから、例えば全社員の有給休暇の付与日を「4月1日」と統一することで、年次有給休暇の管理上の手間を減らすといったケースもあります。

このような取扱いは認められておりますが、あくまで法定の基準日より前に有給休暇を付与することが前提となり、行政通達で以下の2つの条件を充足することが必要とされています。

・年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすこと。
・次年度以降の年次有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じ又はそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げること。


例えば、4月1日入社の社員に対して、入社と同時に年次有給休暇を前倒しで5日付与し、半年後の10月1日に残り5日を付与(半年経過時点で合計10日付与)した場合、翌年以降は毎年10月1日に法定の有給休暇を付与するのではなく、前倒しで付与した「4月1日」を基準として年次有給休暇を付与する必要があります。

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煩雑になりがちな年次有給休暇の付与や管理も、クラウド型の勤怠管理システムを利用すれば簡単に行うことができます。ただし、就業規則に沿った正しい設定がなされておらず、知らないうちに法令違反となっているケースも少なくないようです。現在の設定が誤っていないか確認されることをお勧めいたします。

雇用形態が変わった場合の年次有給休暇はどうすべきか

年次有給休暇について、よくあるご質問の一つとして「パートタイム勤務の社員が正社員になったが、年次有給休暇はどのようにしたらよいか」というものがあります。

年次有給休暇の付与日数は所定労働日数や継続勤務年数で決まっていますが、社員が雇用形態を変更して、勤務日数に変更が生じた際、有給休暇の取扱いをどのように変更したらよいか、判断に迷われるケースがあるようです。

よくある間違いとしては、
・雇用契約を変更した時点でこれまで付与されていた有給休暇をリセットしてしまう。
・継続勤務年数をいったんリセットして、契約変更半年後から再度所定労働日数に応じた付与を開始する。


といったものが挙げられます。
いずれも誤った取扱いで、本人に不利益を与えてしまうので注意が必要です。
勤務の途中で雇用契約等が変更された場合も、それまでに付与された有給休暇は消滅することなく、勤務年数も継続したものとして取扱います。
また、所定労働日数に変更が生じた場合は、契約変更後に迎える「最初の基準日」で該当する所定労働日数に応じた有給休暇を付与することになります。

勤怠管理システムでは、雇用形態を変更した場合も自動で正しい付与日数を計算する機能が備えられていますが、所定労働日数が変わった場合に設定の変更が必要な場合がありますので注意しましょう。

パートやアルバイト社員の年次有給休暇については、過去の労務ブログでも詳しく解説していますのでご参照ください。

☞ 参考:間違えて運用していませんか?~パート・アルバイトの年次有給休暇~

 >>> 詳しくはこちら

年次有給休暇は労働時間としてカウントすべきか

「半日や時間単位で年次有給休暇を取得した日に、終業時刻を超えて働いた場合、残業時間となるのか」というのもご照会が多い一つです。
結論から言うと、年次有給休暇の取得時間は、労働時間にカウントされないため、実労働時間が法定労働時間を超過しなければ、残業時間とはなりません。
ただし、午前中に半日の有給休暇を取得したが、出社後、業務の都合で9時間働いたというようなケースであれば、法定労働時間の8時間を超過する1時間分については、当然に割増賃金の支払いが必要となりますので注意が必要です。

労務画像2
※単純化するため、上記の図解では深夜割増手当(0.25)を考慮していません。

年次有給休暇を休憩時間とあわせて分単位で取得することは出来ないか、といったご相談をお受けすることがありますが(例えば、30分の休憩と30分の年次有給休暇を合わせて1時間休みたいといったケース)、有給休暇を取得できる最小単位が「時間単位」となっており、「分単位」では認められていません。

有給休暇の取得時間を労働時間としてカウントすることは労働者に有利な取扱いとなりますので問題はありませんが、給与計算を行う際、意図せず有給休暇の取得時間も含めて残業時間を計算してしまっているケースも少なくないようです。勤怠管理システムの設定がどうなっているか、今一度確認されることをお勧めいたします。

なお、勤怠管理システムでは時間単位の年次有給休暇の設定を簡単に行うことができますが、制度を導入するためには、就業規則への記載と労使協定の締結が必要になりますので、お忘れのないようご注意ください。

年次有給休暇の買上げは認められるのか

「年次有給休暇の買上げ」についてもよくご質問をいただく事項です。

行政通達によると、「有給休暇の買上げの予約をし,これに基づいて法第39条の規定により請求し得る有給休暇の日数を減じ,ないし請求された日数を与えないことは,法第39条の違反である」とされています。
そもそも有給休暇は、労働者の心身を休ませ、疲労回復させること等を目的とした制度であることから、制度の趣旨を逸する有給休暇の買上げは原則認められていません。

一方で、有給休暇が2年間の時効や退職等により消滅した場合に、その日数に応じて金銭の支払いを行う場合(いわゆる「事後の買上げ」)は、休暇の取得を制限するわけではないので、労基法に違反しないという見解が一般的なようです。
ただし、事後的に金銭の支払いを受けることを期待して、社員が有給休暇の取得を控える行動に繋がる事態を招きかねないことから、このような対応を行うかどうかは慎重な検討が必要となります。

勤怠管理システムを利用することで、社員の有給休暇の取得状況も簡単に確認することができます。社員の心身の健康増進を図るためにも、有給休暇の取得を積極的に促進しましょう。

有給休暇の取得促進については、過去の労務ブログでも取り上げていますのでご参照ください。

☞ 参考:有給休暇の取得は進んでいますか?<前編> ~ 有休5日取得義務化から1年半、制度を改めてチェック!~

 >>> 詳しくはこちら

☞ 参考:有給休暇の取得は進んでいますか?<後編> ~ 有休5日取得義務化から1年半、制度を改めてチェック!~

 >>> 詳しくはこちら





KING OF TIME 情報


前回に引き続き、18歳未満の深夜労働実績をチェックする機能についてご案内いたします。
労働基準法では18歳未満の年少者を午後10時から午前5時までの間(深夜帯)において、原則として労働させることはできません。(労基法61条1項)

18歳未満の深夜労働実績が発生してしまった場合に、時間帯アラート機能を活用することにより、タイムカードにアラートを表示することが可能です。


◆ 時間帯アラートとは?
◆ 18歳未満の深夜労働実績のアラート登録方法
◆ 具体的な活用方法:労働制限がある従業員の深夜労働実績の確認方法


時間帯アラートとは?

アラート設定のうちのひとつで、時間帯を指定し、その時間帯の範囲内か範囲外にスケジュールが登録されている、もしくは打刻があった従業員にアラートを表示できる機能です。
時間帯アラートには「予定」と「実績」があり、「予定」を選択すると予め定めた時間帯に対して、対象の従業員にスケジュールが割り当てられた際に、エラーを表示し登録ができないように制限をかけることが可能です。




18歳未満の深夜スケジュールのエラー設定

設定 ❯ 画面表示 ❯ アラート設定 ❯ 時間帯アラート登録
 ■ 対象区分:実績
 ■ アラート対象勤怠:出勤打刻・退勤打刻
 ■ アラート:当日22:00~翌日05:00の範囲内
 ■ 年齢:18歳 0ヶ月未満
  ※事前に従業員設定にて生年月日の登録が必須となります。

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対象年齢を18歳未満とすることで、深夜帯に労働実績があった場合に、タイムカードにて下記のようなアラートが表示されます。
アラート対象者となると、是正が必要となります。突発的な深夜労働は把握しづらい場合もありますが、時間帯アラート機能を活用することで実態の把握が可能です。

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☞ 時間帯アラートの「予定」については下記記事をご参照ください。

 >>> 詳しくはこちら

☞ 18歳未満の深夜労働に対してアラート表示するにはどうすればよいですか?

 >>> 詳しくはこちら

☞ 勤務が、一定時間および一定日数を超えた場合に、メール通知できますか?

 >>> 詳しくはこちら




具体的な活用方法:
労働制限がある従業員の深夜労働実績の確認方法

育児や家族介護などの事情により、深夜労働ができない従業員に対して、深夜労働が発生した場合にもアラートを表示することができます。

設定 ❯ 画面表示 ❯ アラート設定 ❯ 時間帯アラート登録
 ■ 対象区分:実績
 ■ アラート対象勤怠:出勤打刻・退勤打刻
 ■ アラート:当日22:00~翌日05:00の範囲内
 ■ 年齢:指定しない
 ■ 雇用区分:労働制限対象雇用区分
※アラート機能をうまく活用するには、時短勤務労働者や深夜労働制限者などの労働者の雇用区分を分けることが必要となります。

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年齢に関わらず、深夜労働が制限されている雇用区分を指定することで、指定した雇用区分の全従業員がアラート対象となります。




本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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