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【残業申請制の落とし穴】あらためて考えたい労働時間の把握と管理とは

公開日:2023年1月12日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


【残業申請制の落とし穴】あらためて考えたい労働時間の把握と管理とは

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 勤怠管理システムで労働時間を管理していたはずなのに
◆ 労働時間の把握と管理の重要性
◆ 労働時間の立証について争われた裁判例
◆ 残業申請制度を採用する際のポイント

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勤怠管理システムで労働時間を管理していたはずなのに

社会保険労務士Aがオフィスで仕事をしていると、顧問先E社の総務担当Fさんから焦った様子で電話がかかってきました。

総務担当Fさん:
「今月末で退職する予定の社員Kから『これまで申請していなかった残業代を支払って欲しい』って、急に言われたんです。有休消化で本日が最終出勤日だったんですが、困ってしまいまして、どうしたらいいでしょうか。」

E社は社員数が数十名の情報通信業で、時間外労働の上限規制の施行に伴いクラウド型の勤怠管理システムを導入し、社員の労働時間を適正に管理することに努めてきた企業でした。一方で、時間外労働については申請制として、終業後に申請が無かった残業については労働時間とは認めていませんでした。

総務担当Fさん:
「実は中途入社のKは、上司の指示をあまり聞かず、仕事もサボりがちで勤務態度に問題のある社員でした。会社側からは再三注意していたのですが、聞き入れてもらえず、その指導に嫌気がさしたのか、今回K本人から退職の申出がありました。」

社労士A:
「そうすると会社側に不満を持っていた可能性が高いので、今回の残業代の請求はわざとかもしれませんね。残念ですが、たとえ残業申請制を採用していて、申請が行われていなかったとしても、勤怠管理システムで記録された時間について、労働時間では無かったことを会社側で反証出来ない場合は、残業代の支払いが必要となる可能性が高いです。」

総務担当Fさん:
「そうですか。まさかこんなことになるなんて思ってもいなかったので、会社側ではそこまできちんとした残業時間の把握や管理が出来ていませんでした・・・。」

労働時間の把握と管理の重要性

労働基準法では労働時間を把握・管理する方法について具体的な規定が置かれていませんが、過重な長時間労働や割増賃金の未払いを防止すること等を目的に『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』が示されています。

☞ 『労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』
(厚生労働省リーフレット)

 >>> 詳しくはこちら

そのガイドラインの中で、使用者は、自らが現認する以外の方法として「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」で労働時間を把握することが求められています。

また、始業・終業時刻を自己申告制により行わざるを得ないような場合は、
「入退場記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。」や、「自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。」等の措置を講ずべきとされています。

今回のE社のように、出退勤を勤怠管理システムで客観的に管理していたとしても、時間外労働については申請制を採用しているようなケースでは、所定の勤務時間終了後から申請がなかった退勤までの時間の乖離を会社側で把握し、その理由等を社員に報告させ調査する必要があるということです。

労働時間の立証について争われた裁判例

近年の裁判例においては、使用者がタイムカードで労働時間を管理していた場合に、これと異なる認定をすべき特段の事情が認められない限りは、タイムカードに打刻された時刻に従って労働時間を認定すべきものとして、裁判所は判断するケースが多いようです。

■ A社事件 大阪地裁 平成20年1月11日
衣料品のブランドロゴ・タグデザイナーが、在職中の時間外手当等が支払われていないとして支払いを求めた事案です。時間外労働の有無について、喫茶店での休憩や業務外でのインターネットの使用など不就業時間が含まれると会社側は主張しました。
しかし裁判では、事実を裏付ける証拠と認められず、タイムカードの記録通りの労働時間が認定されました。

■ B社事件 仙台地裁 平成21年4月23日
電気通信設備工事会社を諭旨解雇された従業員が、残業代等の支払いを求めた事案です。
この事案では、出退勤の時間がタイムカードで打刻管理されていましたが、「残業は、自己都合の単なる居残りであり、仕事を伴うものではなかった」、「トランプゲームやパソコンゲームに熱中し、あるいは席を離れて仕事以外のことで時間を潰していた」と会社側は主張しました。
しかし裁判では、「時間管理者を選任し、その者に時計を片手に各従業員の毎日の残業状況をチェックさせ、記録化する等しなければ、タイムカードによる勤務時間の外形的事実を覆すことは困難」とし、「タイムカードに打刻された時間の範囲内は、仕事に当てられたものと事実上推定される」と判断されました。

このように、労働時間管理を行うのは、使用者の責任であり、その管理を会社側が適正に行っていなかったことを理由に、労働者を不利益に扱うべきではない、と裁判所は判断する傾向にあると考えられます。残業時間について争いとなった場合は、使用者側に労働時間ではなかったことの立証責任が課せられていると考えておく必要があるでしょう。

残業申請制度を採用する際のポイント

労働時間の適正な把握が使用者の責務とされていることから、残業申請制度を導入する際は、以下の対応も併せて検討することが必要です。

● 形式的に残業申請制度を導入するだけではダメで、会社としてルールは厳格に運用する必要があること。
● 残業申請を行っていない社員に対しては、きちんとルールを守るように指導を行うこと。
● 従業員が行った残業申請を承認しないのであれば、なぜその申請は承認しないのか、その理由をきちんと説明し、改善のための指導を行うこと。
● 残業削減を個人任せにするのではなく、業務の見直しなど、会社としても取組みを行うこと。

また、勤怠管理システムを活用した以下のような取組みも、会社として取れる有効な選択肢になり得るでしょう。

● 勤怠管理システムの未申請残業通知機能を利用し、きちんと管理をすること。
● 勤怠確認機能を利用し、在社時間と労働時間の差を従業員本人にも確認してもらうプロセスを踏むこと。

このように残業申請制度を適正に運用していくためには、会社の実態に応じて、運用面とシステム面の両輪で対応していく必要があると言えるでしょう。




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