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【給与計算の知恵袋】労働保険の年度更新

公開日:2023年5月11日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


【給与計算の知恵袋】労働保険の年度更新

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 基礎知識(Learning)
◆ よくある間違い、勘違い(Trouble)
◆ 実践のポイント(Tips)

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基礎知識(Learning)

ご存じの通り、労働保険とは労災保険と雇用保険の総称です。保険給付は制度ごとに行われていますが、保険料の納付等についてはまとめて取り扱われています。
保険料は、保険年度ごとに概算の保険料を納付し、翌年度に確定した保険料で精算する方法をとっています。
会社側の対応としては、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と、新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きが必要となります。これを労働保険の年度更新といいます。

労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間を単位として計算されることになっており、その額はすべての労働者に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を乗じて算定します。

年度更新の手続きの概要は以下のとおりです。
■ 作成するもの:「労働保険概算・確定保険料/石綿健康被害救済法一般拠出金申告書」等
■ 提出期間  :6月1日から7月10日までの間(土日祝日を除く)に提出
■ 届出先   :管轄の都道府県労働局や労働基準監督署等
※申告書の提出に合わせ保険料を支払います。

なお、年度更新の申告書は、管轄の都道府県労働局や労働基準監督署への郵送、または「電子申請」でも受け付けており、直接窓口へ出向くことなく申告することができます。

年度更新の手続きの流れや申告書の作成方法の詳細は、厚生労働省で作成している以下の資料をご参照ください。

☞ 『令和5年度 労働保険年度更新 申告書の書き方』

 >>> 詳しくはこちら

☞ 『令和5年度事業主の皆様へ(一括有期事業用)労働保険年度更新申告書の書き方』

 >>> 詳しくはこちら

よくある間違い、勘違い(Trouble)

(1)労働保険の対象者を間違えている
労働者に支払った賃金を労働保険料の算出の基礎に含めるか否かは、言いかえるとその労働者が労災保険・雇用保険の対象となるか否かによります。

《 パート・アルバイト 》
■ 労災保険:労災保険は全ての労働者が対象となります。そのためパートやアルバイトの方も全て対象となります。(保険料は全額事業主負担、労働者の負担はありません。)
■ 雇用保険:1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ 31日以上の雇用見込みがある労働者は雇用保険の対象となります。

そのため、労災保険だけ対象という労働者もでてきます。したがって、保険料に関しても、労災保険だけ対象となる労働者に支払った賃金は、労災保険料の算定の基となる賃金総額には含め、雇用保険の方には含めないといった対応が必要となるためご注意ください。

《 法人の役員 》
■ 労災保険:原則として対象となりません。ただし、事実上、業務執行権を有する取締役・理事等の指揮監督を受けて労働に従事し、その対償として賃金を得ている者は労災保険の対象となります。
■ 雇用保険:原則として対象となりません。ただし、取締役であって、同時に、部長・支店長・工場長など従業員としての身分を有する者は、報酬支払等の面から見て労働者的性格の強い者で、かつ、雇用関係があると認められる者に限り対象となります。

《 出向労働者 》
■ 労災保険:出向労働者は出向先事業の組織に組み入れられ、出向先事業主の指揮監督を受けて労働に従事する者となるため、出向先での労災保険の対象となり、出向先で申告します。賃金は、出向元で支払われる分についても出向先の賃金総額に含めて計算します。
■ 雇用保険:出向元と出向先の2つに雇用関係を有する出向労働者のように、同時に2つ以上の雇用関係にある労働者は、その者が生計を維持するのに必要な主たる賃金を受けているほうの雇用関係についてのみ対象となります。 主たる賃金の支払いが出向元であるならば、出向元で申告します。

(2)労働保険の対象となる賃金を間違えている
労働保険料等は、その事業に使用されるすべての労働者に支払った賃金の総額に、その事業に定められた保険料率・一般拠出金率を乗じて算定します。
この賃金には、給与、手当、賞与など名称にかかわらず、労働に対して支払われるすべてのものが含まれます。
例えば、通勤手当の非課税分が賃金に含まれていなかったり、反対に、実費弁償の出張旅費を賃金に含んで計算している等の誤りがないか注意しましょう。

労働保険の賃金に該当するかどうか、過去の労務ブログも参考にしていただければと思います。

☞【給与計算の知恵袋】報酬に含む手当、含まない手当

 >>> 詳しくはこちら

(3)保険料の計算を間違えている
雇用保険料率については、毎年見直しが行われています。昨年度(令和4年度)は4月から事業主負担分、10月から労働者負担分・事業主負担分が2段階で変更になりました。
今年度も料率が変更されていますので、計算間違いがないか再度点検してみましょう。

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☞ 参考:令和5年度雇用保険料率のご案内

 >>> 詳しくはこちら

実践のポイント(Tips)

労働保険の年度更新手続きの実践のポイントは以下のとおりです。

(1)準備は早めに着手
令和5年度労働保険の年度更新期間は6月1日(木)~7月10日(月)です。
労働保険の年度更新に必要な書類(必要な申告書や集計表等)が緑の封筒で5月下旬に、管轄の都道府県労働局から会社宛に届きます。

届いてからやればよいと構えていると、6月から7月にかけては社会保険料の算定や賞与を支給している会社ではその準備等、業務が立て込んでくるうえに、労働保険の年度更新手続きは、以下のような流れで1年分の賃金総額を正確に把握することが必要であり、手間や時間もかかります。

そのため、3月分の支払給与が確定した段階で余裕をもって準備に着手するのがおすすめです。手続きが遅れると、追徴金(納付すべき保険料・拠出金の10%)を課されることがありますのでご注意ください。

~ 流れ ~
STEP1. 役員を含む全社員の前年度の給与支払いデータ(中途採用者、退職者を含む前年4月から当年3月までに〆日がある支払給与)を準備する。
STEP2. 労災保険の対象者を分類する(対象外となる役員等はいないか)。
STEP3. 雇用保険の対象者を分類する(対象外となる短時間勤務者や役員等はいないか)。
STEP4. Step1~3に基づき労災保険対象者分と雇用保険対象者分別に「算定基礎賃金集計表」を作成する。

(2)賃金の集計期間に注意
年度更新は、社会保険の定時決定とは違い、支払日ベースではなく、前年度の3月までに確定した(3月中に締め日がある)給与を基にして保険料額を計算します。

例1:末締め翌月25日払いの場合、3月末締め4月25日支払い分の給与も含めた1年間
(支払い日ベースでは前年5月25日~当年4月25日の支払い分となります)
例2:15日締め当月末払いの場合、3月15日締め3月末払い分の給与までの1年間
(支払日ベースでは前年4月末日~当年3月末日の支払い分となります。)

(3)電子申請を活用しよう
労働保険の年度更新手続きは、電子申請及び電子納付が便利です。
前述の労働局から送付されてくる申告書に、労働保険番号ごとに異なるアクセスコード(8桁の英数字)が印字されています。年度更新申告の電子申請では、このアクセスコードを入力することにより、「前年度の申告内容」と「申告済概算保険料額」が自動で入力・表示されます。
年度更新については、申告書を電子申請した場合にのみ電子納付をすることができますが、電子申請していない場合であっても、延納(分割納付)を申請した場合の第2期分以降については、電子納付が可能です。

なお、資本金または出資金の額が1億円を超える等の特定の法人は、電子申請が義務化されていますので、まだ対応ができていない企業は注意が必要です。

☞ 参考:電子政府の総合窓口

 >>> 詳しくはこちら

近年進化の著しいクラウド型の労務管理システムを利用することで、申告が必要な確定保険料や概算保険料などの情報を自動で集計し、電子申請まで行うことができます。このようなシステムを利用していない企業では、事務の効率化や作業負担軽減のためにも導入を検討してみてはいかがでしょうか。




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◆ KING OF TIMEデータ分析の「人事レポートの給与」とは?
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次回のKING OF TIME情報は、勤怠管理者におすすめしたい機能について特集します。



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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