30日間無料体験
オンライン見積
資料ダウンロード

労務情報

作成して完了ではない?就業規則の活用ポイント ~ [ 採用・異動 ] 編 ~

公開日:2023年8月17日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


作成して完了ではない?就業規則の活用ポイント ~ [ 採用・異動 ] 編 ~

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ いざというときに活用できる就業規則にするためには?
◆ ワンポイント解説「採用」
◆ ワンポイント解説「異動」

【KING OF TIME 情報】
◆ 管理者とは
◆ 管理者を作成した際のチェックリスト
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


いざというときに活用できる就業規則にするためには?

ほとんどの企業で作成されている就業規則ですが、作成した後にその後見直しをする機会など設けておりますでしょうか。
労使が円満であれば、出番が少なくなる就業規則ですが、いざ問題が発生すると就業規則を元に会社として動いていく必要が出てきます。対応方針を検討する際に、就業規則に記載のルールがどのような内容となっているか、そもそもその内容が法令に準拠しているか、が何よりも大切となります。

就業規則の点検については、法改正のタイミングに加え、それ以上の頻度で定期的に内容のチェックを行い、その時の判例動向やトレンドなどが反映されているかを確認する必要があります。この確認作業においては企業の健康診断という意味合いで、専門家に依頼する方がよいでしょう。

☞ ~【5分でざっくりわかる】労務監査のキホン ~(KING OF TIME 過去ブログ)

 >>> 詳しくはこちら


では、活用することを考えた場合にどのような規定を追加するべきか、あるいは運用する際にはどういう点に気を付けていくべきかを、項目ごとに細分化して実務目線と共にこの後解説してまいります。

ワンポイント解説「採用」

ワンポイント① 提出書類について
採用選考時に提出を求める書類として一般的なものに加えて、トラブルを防止する観点も踏まえ「事前確認書」を加え、自己申告の形式で提出してもらうことをお勧めいたします。この事前確認書については、一般的な選考書類ではチェックしきれない内容を確認する目的や、採用後に認識がずれやすい内容を記載しておくことで、細かい部分を補足し、労使双方の認識を合わせることができます。

どのような内容を記載するかは会社毎の判断にはなりますが、例えば下記のような内容を加えてみるとよいでしょう。
・転勤や職種変更があることについて承諾いただけますか
・必要に応じて出社することを命ずることがありますが承諾いただけますか
(※在宅勤務を認めている会社のケース)
・当社の服装、身だしなみのルールを理解し、ルールに基づいた内容で勤務することを承諾いただけますか
・残業は一定頻度(1日平均1~2時間程度)で発生しますが承諾いただけますか
・あなたは現在、暴力団員等、その他反社会的勢力に該当する人物であると合理的に疑われる者に該当せず、また将来にわたって該当しないことを確約できますか etc

上記のような内容を盛り込むことで採用選考の材料とすることができますし、また労使双方の認識を事前に合わせておくことで、入社後に聞いていないということでトラブルになるケースはかなり少なくなります。近年採用は難航しており、特に中小企業にとっては採用が今後の会社規模拡大に大きく影響します。そんな中、多額のお金をかけて採用にこぎつけた人材を認識の不一致が原因でトラブルとなり、みすみす逃してしまう可能性もあります。お互いに認識を一致させるためにも、手間は増えてしまいますが、事前確認書を追加・運用していくとよいでしょう。

ワンポイント② 試用期間中の解雇について
試用期間中ないしは試用期間経過後に解雇する場合には通常の労働者と同じようにかなり難しいのが実情です。 では、試用期間での解雇についてはどの程度困難であるか事例と共に見てまいります。

判例の立場としては、試用期間は「解雇権留保付きの労働契約」として、本採用後の労働契約とは分けて考えております。解雇権が留保されている契約ですので、通常の労働契約と比較すると、解雇のハードルは若干低いことになります。
しかし、自由に解雇ができるという訳ではなく、本採用拒否により解雇できる場合として「採用や入社時には把握できなかった事由が発覚し、その者を引き続き雇用しておくのが適当でないと判断することに客観的合理性が認められるような場合」などの条件がありますので注意しましょう。
なお、試用期間の満了時ではなく途中での解雇については、労働者の適性を判断している期間の途中での解雇であるため、期間満了後の解雇よりもより一層高度な合理性と相当性が求められます。

ここでは、具体的に争いの事例を挙げていきます。
<解雇有効事案>
・建設関係企業で技術社員として雇われたが、技術社員として著しく適格性を欠いてた。4か月弱が経過した時点でも繰り返し指導が行われたが、改善具合が期待を下回っており、指導を継続しても技術社員として必要な能力を身につける見込みも立たないと評価をされてもやむを得ない状態であった。
労働者自身も改善を求められていることを認識しており、加えて、改善する機会も十分にあったこと、また会社側も本採用に向けて十分な指導、教育を行って解雇回避に努めていたことを踏まえると、この労働者の解雇は適格性不足と改善可能性の乏しさから解雇権の濫用には当たらないとした事件です(A事件 大阪高裁)。

会社として、労働者にきちんと自立してもらうために指導教育を尽くしたが、改善が見られないとして解雇有効となった事案です。解雇が有効となるためには、客観的にかつ合理的な理由が解雇する場合には求められてきます。

<解雇無効事案>
・証券会社での7年間の営業経験がある従業員を採用したが、入社後に実際に営業活動により得られた実績が自身の給料に満たない程度で期待された成績を挙げられていなかったことから、6か月間の試用期間のうち、3か月にて解雇に踏み切った事件です。
この件については、短期間での成績が会社の期待に添わなかったことで解雇したのですが、裁判所は短期間の結果で判断し解雇に踏み切ったことについて不当解雇と判断しています(B事件 東京高裁判決)。

このように、思うような結果を残せない労働者については試用期間中に能力をきちんと見ていくこと、必要に応じて試用期間を延長することなども視野に入れていくとよいでしょう。

試用期間だから大丈夫だろうと安易に解雇に踏み切ることで、思わぬトラブルや争いが生じる可能性が大いにあります。入社後に思ったほどの能力がないとしても、企業側として根気強く指導して改善するよう努めていくことが望ましいです。

ワンポイント解説「異動」

企業側に従業員の人事権が一般的に広く認められていますが、人事権を行使(配転命令)したとしても認められないケースがあるので注意が必要です。

配転命令が認められるためには、
・就業規則などに明文化されていて、実態として配転が頻繁に行われていること
・労働契約において勤務地を限定していないこと
などが必要となります。労働者の適正配置や定期異動などにより実施される配転命令は、一般的には合理的なものであれば労働者は応じる必要があると解されています。

一方で配転命令が認められるかどうかの判断基準としては、下記の3点に該当するかが焦点となります。

(1)業務上の必要性の有無
適正配置や業務運営の円滑化など配転命令を行う業務上の必要性があればよいですが、業務の必要性がないものは注意が必要です。

(2)不当な動機や目的に基づく配転
開発業務の管理職が退職勧奨を拒否したことで、工場への配転命令および降格処分を受けるなど、退職させることを目的とした配転を実施したことが不当な動機による配転であるとして配転命令が認められなかったケースがあります(C事件 大阪地裁判決)。

(3)通常甘受すべき程度を大きく超える不利益
ITの職種においてキャリアがあるものが採用されて勤務をしていたが、とあるタイミングで関係のない倉庫勤務に配転されたことが、従業員本人のキャリア形成において専門職として経験を重ねていくという将来的なキャリアを阻害することになるため、通常甘受すべき程度を大きく超える不利益として、同様に配転命令が認められなかったケースがあります(D事件 東京地裁判決)。
この事件については、キャリア形成に影響があるような配転が労働者にとって通常甘受すべき程度を著しく超える不利益に該当することと判断した新たな視点の判決です。

このように広く会社に裁量がある配転命令についても上記ポイントを抑えたうえで、労働者とのトラブルを未然に防ぐことが望ましいでしょう。

就業規則の改定や活用のご相談については、就業規則作りの専門家である社会保険労務士に是非ご相談ください。




KING OF TIME 情報


今回は勤怠管理の権限を持つ「管理者」についてご案内いたします。

◆ 管理者とは
◆ 管理者を作成した際のチェックリスト



管理者とは

従業員の勤怠管理を行えます。勤怠管理以外にも基本設定の変更権限などを付与することが可能です。管理者は下記3パターンです。

1)admin全権管理者
アカウント発行時から存在する管理者で、1つしかなく、admin全権管理者を削除することはできません。お問い合わせや、契約関連のお手続きはadmin全権管理者だけが行えます。また、基本設定や勤怠データ修正など、設定変更などのすべての権限を持っています。

2)全権管理者
KING OF TIMEの基本設定や勤怠データ修正など、設定変更の権限を持っています。全権管理者は複数登録できます。

3)一般管理者
基本設定や勤怠データ修正など、全権管理者によって指定された権限のみを持っています。一般管理者は複数登録できます。

☞「管理者設定」の設定方法(管理者作成、権限付与)

 >>> 詳しくはこちら

☞ admin全権管理者 / 全権管理者だけが可能な操作

 >>> 詳しくはこちら



管理者を作成した際のチェックリスト

管理者を作成した際には、以下の設定項目もあわせてご確認ください。

1)一般管理者へのメール通知
一般管理者を作成後、登録されているメールアドレスへ管理者用アカウント情報のメール通知ができます。

☞ 管理画面ログイン情報のメール通知方法

 >>> 詳しくはこちら


2)申請承認フロー設定
申請承認フローに登録された管理者のみ、従業員からの申請を承認/棄却することができます。申請承認フローは所属単位で設定します。

☞「申請承認フロー設定」の設定方法

 >>> 詳しくはこちら


3)通知機能一覧
各種通知メールを受け取る管理者を選択します。申請承認フローと組み合わせて利用することで勤怠修正が必要な従業員の早期発見に効果的です。

☞ 通知機能一覧

 >>> 詳しくはこちら


4)KING OF TIMEシリーズ製品のサービス利用を選択
KING OF TIMEシリーズとして、KING OF TIME システムログ、KING OF TIME データ分析、KING OF TIME 人事労務、KING OF TIME 給与をご用意しています。管理者設定の「サービス利用」カテゴリにて、必要なサービスを「利用する」に変更することで、KING OF TIMEに登録されている管理者を各サービスの管理者として連携できます。

労務画像1



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
30日間無料体験バナー