30日間無料体験
オンライン見積
資料ダウンロード

労務情報

【5分でざっくりわかる】年収の壁・支援強化パッケージの活用ポイント

公開日:2023年12月7日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


【5分でざっくりわかる】年収の壁・支援強化パッケージの活用ポイント

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 今後は年収の壁を意識せず働けるのか?
◆ 106万円と130万円の壁の違いとは
◆ 106万円の壁対策の助成金とは
◆ 130万円の壁の被扶養認定継続のポイントは
◆ 実務上のポイントと注意点

【KING OF TIME 情報】
◆ 年末年始休暇の設定方法について
◆「スケジュール登録(手動)」で休暇を登録する方法
◆「祝日設定」で登録する方法

☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


今後は年収の壁を意識せず働けるのか?

2023年10月、政府より「年収の壁・支援強化パッケージ」が公表されました。
「年収の壁」というのは、税制法上のものと社会保険に関するものがありますが、今回の施策は社会保険に関するものとなります。

社会保険の加入義務の収入範囲や、配偶者の扶養から外れないようにしていた方々に対して、年収の壁を意識しないで勤務できるように後押しすることがこの制度の目的です。具体的には、会社が社会保険の保険料の負担分による手取りを減らさない取り組みをした場合に国が助成をしたり、年収の壁を超えた場合でも被扶養認定を継続できることが主な内容となります。

パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査(令和3年実施)によると、「就業調整をした理由」のアンケート(複数回答可)に回答した女性のうち、57.3%が「一定額(130万円)の壁を超えると配偶者の扶養から外れ自分で加入しなければならないから」を選んでいる実態があり、今回の取り組みの影響は少なくないと考えられます。

なお今回の措置は、2025年年度末までの時限措置となりますので、その後の制度については現時点では不透明です。
そのため、2025年以降の施策次第では、一度社会保険に加入したものの、元の働き方に戻したいという方も出てくるかもしれません。
また、従業員の中には、引き続き社会保険には加入したくない、扶養の範囲内で働きたいという方もいるかと思いますので、会社としてどのように対応するかも検討しておく必要があります。

人手不足に悩む会社では、人手不足を補う良い機会ともなりますが、中長期的な視点で制度を利用していくかを検討していく必要があると言えます。

106万円と130万円の壁の違いとは

社会保険の壁について内容を整理をしていきます。

① 106万円の壁
2022年10月の法改正以降101人以上(2024年10月より51人以上の企業に拡大)の従業員を雇う企業で勤務をしている場合で、
・月収88,000円以上
・週の所定労働時間が20時間以上
・2か月を超える雇用の見込みがある
・学生ではない
これらの条件に合致すると社会保険(健康保険、厚生年金保険)に加入することとなります。そのため、保険料の支払いが発生することにより、手取りが少なくなってしまいます。企業にとっても、社会保険の適用となると労使で折半して保険料を負担することになりますので、人件費が増加することとなります。

② 130万円の壁
この130万円の壁を超えた場合、一週間の所定労働時間および一か月の所定労働日数が正社員の4分の3以上であれば健康保険や厚生年金保険に加入し、4分の3未満であれば、国民健康保険、国民年金に加入することになります。

なお、今回公表された「年収の壁・支援強化パッケージ」はいわゆる税制上の103万円や150万円、201万円の壁については対象に含まれません。

106万円の壁対策の助成金とは

【106万円の壁対策】
◆「社会保険適用促進手当」を支給し、実質の手取りを減らさない取り組みをした企業への助成(キャリアアップ助成金[社会保険適用時処遇改善コース・手当等支給メニュー])
具体的には図1のようになります。

図1
労務画像1

短時間労働者の方が社会保険に加入するにあたり、労働者の保険料負担を軽減するために社会保険適用促進手当を支給する場合に、助成が受けられます。
1年目については賃金の15%以上を追加支給すること、2年目については1年目と同様の要件に加えて、3年目以降賃金(基本給)の18%以上増額させる取り組みを行うことで、労働者1人当たり年20万円支給されます。3年目については、賃金を18%以上増額させた場合に10万円助成されます。

社会保険適用促進手当を導入する場合には、就業規則等への記載が必要です。この手当て自体は現在期間が2年間と限定されているため、就業規則に記載をする際にも恒久的な措置ではなく期間限定であるといった内容で記載をするとよいでしょう。なお、社会保険適用促進手当の名称については、厚生労働省から、事務処理の関係上、異なる名称を使用しないよう要請されています。

◆ 週所定労働時間を延長かつ賃金を増額させた場合に一定額を企業へ助成(キャリアアップ助成金[社会保険適用時処遇改善コース・労働時間延長メニュー])

図2の通り、週の所定労働時間を延長しかつ賃金を一定割合増額する措置を6か月継続した場合、労働者一人当たり30万円の助成を受けることができます。

図2
労務画像2

こちらの助成金については、週所定労働時間の延長に加え、賃金の増額幅も申請するための要件となっています。そのため、週の所定労働時間が4時間以上と多く延長できる場合には賃金の増額は不要ですが、週の労働時間をあまり延長できない場合には、時給を上げるなどの対応が必要です。
この労働時間延長メニューにおいても実質の手取りを減らさない取り組みにつながることが求められています。

※手当等支給メニューと労働時間延長メニューのパターンを併用して受給することも可能です。詳しくは、厚生労働省のパンフレットなども参考にしてみてください。

☞ キャリアアップ助成金 [社会保険適用時処遇改善コース] のご案内(厚生労働省)

 >>> 詳しくはこちら

130万円の壁の被扶養認定継続のポイントは

【130万円の壁対策】
◆ 事業主が証明をすることで引き続き被扶養者として認定されます(事業主の証明による被扶養者の認定の円滑化)

図3のように、現在まで被扶養者として認定されていた方が、「一時的に」収入の壁を超えることになった場合に、健康保険組合等の判断により引き続き被扶養者として認定されます。

図3 (引用元:厚生労働省)
労務画像3

☞ 年収の壁・支援強化パッケージ概要(厚生労働省)

 >>> 詳しくはこちら

注意点としては下記の通りです。
(1)業務量の変動や人員変動により一時的な収入増であること
たとえば、従業員の退職や休職等により業務の負担が増えた場合や、受注が増え一時的に業務量が増えた場合などが想定されます。そのため、雇用契約書等で基本給の変動などにより、将来に向かって恒常的に収入があがることが明らかな場合には、本制度の対象外となり、引き続き被扶養者にはなれません。

(2)扶養認定の際の提出書類に「事業主の証明書」の提出が必要
一時的な収入増かどうか判断するために、本来の想定年収、労働時間延長等が行われた期間、期間中の収入額などを記入します。このうち、労働時間延長等が行われた期間については、全国健康保険協会や健康保険組合による扶養確認のタイミングや手続きにより、記載する期間が異なる可能性がありますので、事前に記載方法を確認をしておきましょう。

(3)事業主の証明による被扶養者認定の円滑化は連続2回まで
2回の認定については、年あたり1回を想定しており、実質2年連続での認定であることを意味しています。

実務上のポイントと注意点

(1)社会保険適用促進手当は割増賃金の基礎となる賃金となるか
社会保険適用促進手当を毎月約13,000円払うとした場合、割増賃金の基礎となる賃金から除外されている賃金には該当しないと考えられるため、基礎賃金に入れる必要があります。また、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金でもないため、平均賃金を計算する際の金額にも含まれることになります。
他方、賞与の際にまとめて支払うなど、一定期間ごとに支払いをする場合には、割増賃金や平均賃金のルールに則って計算に含める必要はありません。

(2)事業主の証明による被扶養者認定の一時的な増収はいくらまで認められるか
一時的に収入が増加した場合の金額の範囲については、上限額は設定されていません。理由としては、金額だけでは一時的な事情によるかどうか判断が出来ないためです。ただし、次の要件に該当する場合には、被扶養者の認定はされません。
・被扶養者が被保険者と同一世帯に属している場合、被扶養者の年間収入が被保険者の年間収入を上回る場合
・被扶養者が被保険者と同一世帯に属していない場合、被扶養者の年間収入が被保険者からの援助額を上回る場合
また、扶養の認定については、認定対象者、収入要件、同居要件など、収入以外の要件も加味して扶養認定がされるため、健康保険組合等へ事業主が証明をしたからといって必ず扶養認定が継続されるわけではないことに注意が必要です。
実際に扶養認定がされるか否かについては、都度個別具体的に健康保険組合等に確認するようにしましょう。

(3)年収の壁を超えるかどうかの管理方法とは
毎月、ある一定程度の労働時間や収入に収めようとして働いたとしても、突発的な勤務により予定通りに進まず、年末に就業調整をされてしまうケースがよく見受けられます。年末の多忙な時期を少ない労働力で対応せざるを得なくなり、このような問題を回避するためには、予実管理が重要になってきます。
KING OF TIMEでは、入力したシフトなどに連動させて、人件費の概算予測および実績を管理する機能があります。予実の管理ができるため、年末で就業調整が発生しないようなコントロールができるようになります。

☞ 【人件費概算出力機能/予実機能】人件費概算の予実確認方法

 >>> KING OF TIME オンラインヘルプ

今回の制度はあくまでも時限的な措置であり、年収の壁そのものは変わっていません。一方、近年の最低賃金の上昇率の傾向は続くと思われますので、必然的に就業させられる時間は減少することになります。生産性の向上はもちろんですが、そのためには、まずは、しっかりとした労働時間の管理が必要となります。




KING OF TIME 情報


本年も残りわずかとなってまいりました。
今回は年末年始休暇の設定方法をご案内いたします。

◆ 年末年始休暇の設定方法について
◆「スケジュール登録(手動)」で休暇を登録する方法
◆「祝日設定」で登録する方法



年末年始休暇の設定方法について

年末年始休暇の設定方法は、以下2通りございます。
それぞれの設定方法をご確認のうえ、運用に適した年末年始休暇をご設定ください。

1)「スケジュール登録(手動)」で休暇を登録する方法
2)「祝日設定」で登録する方法



「スケジュール登録(手動)」で休暇を登録する方法

休暇区分設定で作成した「年末年始休暇」をスケジュールに割り当てる方法です。
スケジュール欄には「年末年始休暇」の名称が表示されるため、通常の休日と年末年始の休暇との違いが分かりやすくなります。

KOT画像1

☞ 月間スケジュールの手動登録 / 削除方法(スケジュール管理)

 >>> 詳しくはこちら

【補足】休暇区分設定の加算タイプ / 減算タイプについて
〈 加算タイプ 〉
「取得(消化)日数」のみを管理する場合に使用します。
例えば、「年末年始休暇は12/29~1/3」等と決まっている場合に適しています。

〈 減算タイプ 〉
「付与日数」、「取得(消化)日数」、「残日数」を管理する場合に使用します。
年末年始休暇が会社指定の日ではなく、従業員が自由に利用できる場合は、取得可能日数を管理者が毎年付与します。付与した日数以上の休暇申請ができないように制御することも可能です。

☞ 残日数管理しない休暇の作成方法(加算タイプ)

 >>> 詳しくはこちら

☞ 残日数管理する休暇の作成方法(減算タイプ)

 >>> 詳しくはこちら

☞ 夏季休暇など、特定の期間内だけで取得できる休暇の作成方法

 >>> 詳しくはこちら



「祝日設定」で登録する方法

「祝日設定」では、年末年始休暇としたい日を毎年登録する必要があります。 「取得(消化)日数」や「残日数」などの休暇管理が不要な場合に「祝日設定」をおすすめします。

KOT画像2

☞ 「祝日設定」の設定方法(日本の祝日、会社独自の祝日)

 >>> 詳しくはこちら



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
30日間無料体験バナー