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税務情報

【税務情報】所得税の控除と年収の壁について

公開日:2024年7月18日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:税理士法人総合経営サービス
植松 伸 
監修:税理士法人総合経営サービス
植松 伸 


【税務情報】所得税の控除と年収の壁について

今週のピックアップ

◆ 所得税の控除とは
◆ 配偶者控除とは
◆ 配偶者特別控除とは
◆ 扶養控除とは
◆ 年収の壁とは

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所得税の控除とは

総合経営サービスの植松です。
今回は、所得税の控除と年収の壁についてご案内します。

所得税の控除は、「人」に基づくものと「物(金額等)」に基づくものがあります。
現在、所得税の控除は15種類あり、「人」に基づくものは「人的控除」といい8種類、「物(金額等)」に基づくものは「物的控除」といい7種類あります。

「人的控除」は、その名の通り人がいれば対象になる控除で、下記の8種類があります。
・基礎控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・障害者控除
・寡婦控除
・ひとり親控除
・勤労学生控除


この「人的控除」のうち、今回は「配偶者控除」、「配偶者特別控除」、「扶養控除」を取り上げて詳しくお話していきます。

配偶者控除とは

「配偶者控除」とは、文字通り配偶者がいる方が対象となる可能性がある控除です。

対象となる配偶者の要件は下記の4つがあります。
① 民法の規定による配偶者であること
つまり法律上の配偶者のみ該当し、内縁関係にある方は該当しません。

② 生計を一(いつ)にしていること
耳慣れない言葉ですが、これは簡単に言えば納税者のお金で生活をしているかどうかです。必ずしも同居の必要はありません。例えば、配偶者が単身赴任していて同じ家に住んでいなくても、その配偶者の所得で生活していれば問題ありません。

③ 年間の合計所得金額が48万円以下であること
ここで「所得」と「収入」の違いについて簡単に触れると、例えば、配偶者の方が会社勤めの場合、給与支給額(額面そのもの)が収入となります。そこから給与所得控除額を引いたものが所得(給与所得)となります。したがって、「年間所得金額48万円以下」か否かを見る場合は、給与の額面ではなく、控除額を差し引いた金額をもとに判断します。

④ 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと
この要件は配偶者が個人事業を営んでいる場合に考慮する必要があります。

上記の要件を満たした場合、「配偶者控除」の控除額は38万円となります。なお、配偶者がその年の12月31日時点で70歳以上であれば48万円になります。

以前は、これだけだったので比較的簡単でしたが、今は納税者本人の所得金額も確認する必要があり、配偶者が4つの要件を満たしていても、納税者本人の所得が1,000万円を超えていると控除を受けることができません。
また、納税者本人の所得が900万円超1,000万円以下の範囲の場合は、段階的に控除の金額が減っていきます。

配偶者特別控除とは

「配偶者特別控除」ですが、前述の「配偶者控除」の4つの要件のうち、3つめの要件に該当せず、所得が48万円を超えた方が対象となる可能性があります。

配偶者の所得が48万円を超えていると「配偶者控除」は対象外ですが、所得が48万円超133万円以下であれば「配偶者特別控除」の対象となります。
こちらも「配偶者控除」と同様に納税者本人の所得が1,000万円を超えている場合には対象にはなりません。また、納税者本人の所得が900万円超1,000万円以下の範囲の場合は、段階的に控除額が変わってきます。

扶養控除とは

次に「扶養控除」についてです。
「扶養控除」の対象者は、「配偶者控除」の対象とほぼ同じ条件(4要件)で、1つめの要件が配偶者ではなく、親族や里子等になります。
この場合の親族とは、6親等以内の血族及び3親等以内の姻族で、里子等とは、都道府県知事から養育を委託された児童や市町村長から養護を委託された老人をいいます。

それでは4要件を満たした全員が扶養控除対象になるのでしょうか。答えは否です。 これも以前は全員対象でしたが、今の税制では扶養親族のうち16歳未満の方は対象外です。
この改正が行われた際、「児童手当」を見直し、「こども手当」として拡充することになりましたが、財源等の問題があり、結果として2年ほどで再度「児童手当」が見直され、「こども手当」は廃止されました。
しかし「こども手当」はなくなったのですが、改正された「扶養控除」は元に戻らなかったため、子供が16歳になるまでは対象外となりました。

「扶養控除」には、「一般の控除対象扶養親族」、「特定扶養親族」、「老人扶養親族」、「同居老親等」と4種類あります。学費等がかかる時期は受けられる控除額が高く設定されています。

年収の壁とは

最後に、扶養の範囲で働きたいという方が意識する「年収の壁」についても触れておきたいと思います。
「年収の壁」とは、その年収を超えると税金等、何かしらの負担額が増え、結果として「手取り金額」が減るような金額をいいます。

「年収の壁」には以下のようなものがあります。
・配偶者控除、扶養控除から外れる「103万円の壁」
・社会保険の扶養から外れる「106万円の壁」、「130万円の壁」


【103万円の壁】
パートやアルバイトの方が最初に気にされるのは「103万円の壁」だと思います。
これは、給与(年収)が103万円までは、前述した給与所得控除額の最低額が55万円であるため、「給与103万円-給与所得控除55万円=給与所得48万円」となり、配偶者控除や扶養控除の範囲内(年間所得48万円以下)になるからです。

「一般の控除対象扶養親族」の方は給与が103万円を超えることにより、控除対象外となりますが、何よりも扶養していた方の納税負担が大きくなります。
その方の所得金額にもよりますが、所得税が19,000円から171,000円の範囲で増加し、住民税が33,000円増加します(この金額には復興特別所得税が入っていないので、実際にはもう少し増加します)。

給与が103万円を1円でも超えただけで、最低でも52,000円納税額が増えることになるため、103万円以下に抑えたくなる気持ちもよくわかります。
配偶者の場合には配偶者特別控除がありますので、ここまで納税額が増えることはなく、ギリギリ超えたくらいでは、納税額が変わらないこともあります。

【106万円の壁、130万円の壁】
「106万円の壁」は、厚生年金保険の被保険者数が101名以上(令和6年10月1日からは51名以上)いる事業所で働いていて、一定の条件を満たした場合に、社会保険に加入する必要が出てくることです。

「130万円の壁」については、超えた場合に社会保険の扶養から外れることになります。
そのため、自分で国民健康保険と国民年金(場合によっては、勤務先の健康保険と厚生年金保険)に加入する必要があります。
なお、社会保険の扶養から外れたとしても、被保険者(扶養していた方)の社会保険料は変わらず(減らず)、扶養から外れた方の健康保険料と厚生年金保険料を支払う負担が増えることになります。

以上のように、103万円は税金の壁、106万円、130万円は社会保険の壁とも言われています。
会社側では「年収の壁」を意識することも必要ですが、労働力人口の減少による人手不足が問題になっていますので、助成金等も活用しながら、この「年収の壁」を意識せずに働ける会社の環境づくりに取り組んでいくことも重要と考えられます。

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※あくまでも概算ですので、目安としてご利用ください。
※正確な数字に関しては別途計算し、管理・把握をしておかれてください。



監修者紹介

税理士法人総合経営サービス 植松 伸

下町生まれの税理士の植松伸です。
税理士になる前は建設系の労働組合で働いていたので、建設業等の許認可や健康保険事務組合の知識もあり、それらの業務を弊社グループ内へつなぐことも大事にしています。
趣味は観賞魚飼育で、現在自宅に水槽が10個あります。
魚を眺めたり、水の音はとてもリラックスできるのですが、水槽の掃除等のメンテナンスに時間がかかるので、ちょっと増やしすぎたと反省する毎日です。

本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:税理士法人総合経営サービス

 
 
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