今週のピックアップ
【税務情報】
◆ Q1. 北海道で暮らす別居中の両親を扶養親族として記載していますが、問題ないでしょうか?
◆ Q2. 扶養親族となっている子供が、年末に日払いのアルバイトをする予定です。
「所得が48万円以下」と確定できないのですが、どうしたらいいですか?
◆ Q3. 同居している父親の「後期高齢者医療保険料」を私が支払っています。
その保険料の支払金額を「保険料控除申告書」に記載してもいいですか?
◆ Q4. 学生の娘の国民年金保険料を負担していますが、2年間分をまとめて支払いました。
社会保険料控除の対象額はいくらになるのでしょうか?
◆ Q5. 夫婦でiDeCoに加入していますが、妻はパートの年間給与が90万円程で、
所得税は発生していません。そのため私の所得控除としてもよいのでしょうか?
◆ Q6. 私には3歳になる息子がおり、特別障害者の認定を受けていますが、
年末調整で調整してもらえるのでしょうか?
◆ Q7. 今まで同居で扶養としていた75歳の両親ですが、母の一時入院や父の老人ホーム入居で
状況が変わりました。この場合、扶養から外す必要があるのでしょうか?
【KING OF TIME 情報】
◆ 給与計算・年末調整
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総合経営サービスの植松です。 前回に引き続き、年末調整のFAQです。前回は定額減税等に関する内容を中心に取上げましたが、今回はスタンダードな質問について回答していきたいと思います。
Q1. 北海道で暮らす別居中の両親を扶養親族として記載していますが、
問題ないでしょうか?
別居している親族を扶養親族とする場合には、所得要件(合計所得金額48万円以下)を満たしていること以外に、その親族の生活費や治療費等を支払っているという客観的な事実が必要です。
本来は、同居している場合でも「控除対象扶養親族」とするためには同様の要件が必要ですが、同居だと、いわゆる「財布が一緒」という状態が一般的なことから、その確認は求められていない状況です。
今のところ国内の扶養親族については、法令上、その扶養している事実を証明する書類等を提出することまでは必要とされていませんが、国外に居住する扶養親族を控除の対象にするためには、「親族関係書類」や毎月の「送金関係書類」を添付できないと「控除対象扶養親族」とすることはできません。
年末調整の担当の方は、確認書類もきちんと提出してもらい確認するようにしましょう。
Q2. 扶養親族となっている子供が、年末に日払いのアルバイトをする予定です。「所得が48万円以下」と確定できないのですが、どうしたらいいですか?
こちらは、本来は12月31日までの所得が確定した上で所得税を計算するのが最も正しい方法ですが、さまざまな理由により12月中に年末調整をする以上はどうにもならない問題です。
そのため、確定できないとしても、お子さまに日額と働く予定日数を聞き、それまでのアルバイト収入と合計した見込額を記載することになります。
給与収入のみの場合、見込額が103万円以下であれば「控除対象扶養親族」に記載し、超えていれば記載をしないで「扶養控除等申告書」を提出すればよいと思います。
結果的に提出した内容と異なっていた場合には、確定申告をして調整すれば問題ありません。
異なっていたのに確定申告をしないと、「控除対象扶養親族」に該当するのに、該当しないとして年末調整した場合は、税務署からとくに指摘を受けることはありませんが、反対に、該当しないのに「控除対象扶養親族」として年末調整していた場合には、忘れたころに本当に扶養の対象かどうかという「扶養是正」の確認の通知が届くため注意が必要です。
年末調整の担当の方からは、アルバイトをしているお子さんなどがいる場合に、きちんと金額を確認のうえ記載するように促すことをおすすめします。
Q3. 同居している父親の「後期高齢者医療保険料」を私が支払っています。
その保険料の支払金額を「保険料控除申告書」に記載してもいいですか?
こちらはどのように支払っているかによって異なります。
まず、親族の「後期高齢者医療保険料」等の社会保険料を支払った場合には、自らの社会保険料控除の対象とすることができます。
しかし、その支払いが父親の口座から直接引き落とされている場合(その保険料分の金額を手渡ししていたり、父親の口座に振り込んでいたとしても)には、これは父親が支払ったものとされます。
年金から天引きされている介護保険料等も同様で、たとえ面倒を見ていたとしてもその保険料は父親が支払ったことになります。
社会保険料の種類や状況によっては、天引きをやめることができないものもありますが、現金払いにできるものは現金払いにして、自らが支払えば控除対象となります。
Q4. 学生の娘の国民年金保険料を負担していますが、2年間分をまとめて支払いました。社会保険料控除の対象額はいくらになるのでしょうか?
その年に支払った保険料の総額で申告するか、今年と来年の本来の納付額を2年に分けて申告するか選択できます。
保険料控除証明書には総額の証明額と、各年分に分かれた証明額の2通りの記載がありますので、申告する金額に応じて証明書を添付することになります。
もし、来年以降大きく所得が下がることがわかっている場合には、2年分をまとめて控除した方が税額計算において有利になる可能性があります。
Q5. 夫婦でiDeCoに加入していますが、妻はパートの年間給与が90万円程で、所得税は発生していません。そのため私の所得控除としてもよいのでしょうか?
iDeCoの掛け金は「小規模企業共済等掛金控除」の対象ですが、所得控除の対象になるのは本人名義のものだけです。社会保険料控除とは扱いが異なることにご注意ください。
一方で、生命保険料の掛け金はiDeCoの掛け金と異なり、契約者が奥さまであっても、実際の保険料の支払者が「生命保険料控除」の対象としてよいことになっています。
ただし、その生命保険の保険金の受取人等のすべてが保険料の払込みをする人かその配偶者その他の親族(個人年金保険契約等である場合には、保険料の払込みをする人かその配偶者)である場合に限ります。
参考までに、契約者と保険料負担者が異なっていても構いませんが、保険料負担者以外の人が、その生命保険契約の死亡保険金や満期返戻金、解約返戻金等を受け取った場合には、相続税または贈与税の対象となる点は注意が必要です。
Q6. 私には3歳になる息子がおり、特別障害者の認定を受けていますが、年末調整で調整してもらえるのでしょうか
定額減税を受けられることは当然ですが、障害者については障害者控除の対象にもなります。
16歳未満であっても「扶養控除等申告書」に記載する場所はありますので、そちらに記載し、特別障害者であることも明記して提出しましょう。
ちなみに障害者手帳等のコピーを添付する法令上の義務はありませんが、一般的には確認のため提出を求めることが多いです。
もし、昨年まで障害者控除を適用していないようであれば、還付申告または更正の請求をすることにより、所得税の還付を受けることができる可能性があります。手続きができる期限は5年間なので早めの確認をおすすめいたします。
Q7. 今まで同居で扶養としていた75歳の両親ですが、母の一時入院や父の老人ホーム入居で状況が変わりました。この場合、扶養から外す必要があるのでしょうか?
ご両親とも合計所得金額が48万円以下であれば、控除対象の扶養親族に変わりはありませんので外す必要はありません。
しかし、お父様は老人ホームに入居しているため「同居老親等」には該当しないことから、所得控除額が48万円から38万円に下がります。
お母様は入院が一時的であると考えられるため「同居老親等」に該当します。
KING OF TIME 情報
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【参考】 KING OF TIME 給与|給与計算・年末調整
監修者紹介
税理士法人総合経営サービス 植松 伸
下町生まれの税理士の植松伸です。
税理士になる前は建設系の労働組合で働いていたので、建設業等の許認可や健康保険事務組合の知識もあり、それらの業務を弊社グループ内へつなぐことも大事にしています。
趣味は観賞魚飼育で、現在自宅に水槽が10個あります。
魚を眺めたり、水の音はとてもリラックスできるのですが、水槽の掃除等のメンテナンスに時間がかかるので、ちょっと増やしすぎたと反省する毎日です。
本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。