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今週のピックアップ
◆ 401K、iDeCo、NISAって何?
◆ NISA
◆ 確定拠出年金(DC)と確定給付年金(DB)の違い
◆ DC制度
◆ 掛金に対する税金
◆ 運用方法
401K、iDeCo、NISAって何?
総合経営サービスの植松です。
今回は、確定拠出年金(DC)について取り上げます。
確定拠出年金(DC)は、企業型(401K)と個人型(iDeCo)に分けられ、比較されるものに確定給付年金(DB)があります。他にも比較されることが多いNISAも合わせてお話していきたいと思います。
まずは簡単な区分です。
確定拠出年金(DC)と確定給付年金(DB)は、いずれも年金制度です。企業型(401K)と個人型(iDeCo)は、いずれも確定拠出年金で法人型か個人型の違いです。NISAは、投資の話で正式名称は「少額投資非課税制度」といいます。
確定拠出年金(DC)と確定給付年金(DB)は、同じ年金制度なので似たような部分もありますが、NISAは投資なので本質的に違うものです。
NISA
NISAの話は、本筋ではないので簡単にご案内します。
これは個人だけができる制度で、昨年から「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を併用できることになりました。
「つみたて投資枠」は、基本的に月10万円を限度額として、毎月投資信託等を購入していく制度で年間120万円の積立が上限となります。
「成長投資枠」は、年間240万円を上限にして、いつ株や投資信託等を購入しても構わないので、1月に240万円の枠を使い切っても問題ありません。
どちらの枠の投資でも「運用益」が非課税になるため、長期保有を目的とすれば「つみたて投資枠」、値上がり益を目的とすれば「成長投資枠」を選択するのが一般的です。
基本的に運用している間の利益は非課税になりますので、株式や投資信託等の配当も非課税となり、高配当銘柄を配当目的で保有するという考え方もあります。
昨年からは保有期間が無期限となったため、値下がりした際には売却せず、配当があればそれをもらいつつ値上がりを待つことも可能となっています。
確定拠出年金(DC)と確定給付年金(DB)の違い
今回のメインテーマに入ります。
確定拠出年金(DC)と確定給付年金(DB)の違いを端的にいうと、読んで字のごとく、拠出金額が確定しているDC、給付金額が確定しているDBということになります。
DCもDBも毎月掛金を支払い、その掛金の支払額には、社会保険料や所得税、住民税を少なくする効果があります。
掛金額を勤務先が負担するか、各従業員個人で負担するかは制度設計により異なります。その掛金を個人で運用できるのがDCで、個人で運用できず管理団体が運用するのがDBです。
DBは給付金額が決まっているため、運用に失敗し給付金額が足りなくなる場合には、加入している企業等が追加負担しなければならないこともあるので、どうしても安全第一になります。
一方で、DCは毎月支払う額は決まっていますが、受け取る際の金額が未定です。つまり、運用が上手くいけば受取金額が掛金より多くなりますし、反対に失敗すれば、受取金額が掛金より少なくなります。絶対に減らしたくないのであれば、定期預金での運用も可能です。
DCもDBも従業員が転職した場合、基本的には、次の勤務先が同様の制度を採用していれば継続加入することができますし、その制度が無い場合にはiDeCo等に加入することにより継続的に加入することが可能です。基本的に投資は、長い期間継続的に行うほうがリスクが低く有利なことが多いため、転職しても継続できる便利な制度といえるでしょう。
DC制度
DC制度を掘り下げて説明していきます。
確定拠出年金には、企業型の401Kと個人型のiDeCoがありますが、どちらも基本的な内容は同じです。
個人型であるiDeCoは掛金額を自分で決めることになりますが、企業型の401Kについては制度設計によって異なり、以下3つのパターンに分けられます。
① 各従業員が給与の中から掛金額を自分で決める
② 一部を企業が負担し、従業員が給与の中から上乗せして負担する
③ 掛金全額を企業が負担する
<① のケース>
自分の基本給を下げて401Kの掛金とする方法です。
例えば基本給が30万円の方が、5万円を401Kの掛金にしたければ、基本給を25万円に下げてもらうことになります。
給与が下がったら意味がないと思う方もいるかもしれませんが、基本給を下げたとしても、5万円を別枠で積み立てているだけで、合計では自分が30万円もらっていることに変わりはありません。また、税金や社会保険料は30万円ではなく、25万円に対して掛かるため、その点メリットがあるといえるでしょう。
<② のケース>
① と ③ のハイブリッドです。
例えば企業が2万円の掛金を支払い、従業員は基本給を自分で2万円下げて掛金にする制度です。
<③ のケース>
例えば30万円の基本給に、企業側で全額負担して5万円を上乗せする制度です。
こちらも35万円に対する税金や社会保険料ではなく、30万円に対する税金や社会保険料になるので、企業にも個人にもメリットがあります。
どのパターンであれ、企業にも個人にもメリットがあることは変わりませんが、企業型の場合には毎月の手数料を企業側が負担する必要がありますので、その企業の掛金額によってはメリット額よりも手数料の方が高いこともあると思います。
しかし、その手数料は掛金を含めて全額企業の費用にできることと、近年は従業員の確保に四苦八苦している企業が多いことや、高校等で投資教育も始まっているため、通常の社会保険に加えて確定拠出年金制度もあるということが、採用活動にもプラスになるのではないでしょうか。
掛金に対する税金
確定拠出年金の大きな特徴のひとつが「運用」です。
厚生年金や国民年金、年金型の生命保険では、掛金を自分で運用することはできず、唯一この制度だけが自分で運用することができます。
得するのも損するのも自分の選択次第ということにはなりますが、定期預金という元本保証の運用も可能なので、制度を導入している企業に勤務している方は、一度検討してみてもよいかもしれません。
税理士の視点で制度を利用した場合の税金について考えると、掛金をかけただけで給与としてもらうよりも税金が少なく済みます。
500万円ほどの給与の方は、所得税と住民税でおよそ30%かかりますので、月額3万円の掛金をかけると年間の積立額が36万円ですから、そのおよそ30%の10万8千円の税金が少なくなります。
そして受取時に退職金として受け取ると、掛金の期間が40年であれば2,200万円(掛金1,440万円)、30年で1,500万円(掛金1,080万円)、20年で800万円(720万円)までは税金がかかりません。
つまり、元本保証の定期預金にするだけでも20年で216万円、40年では432万円も税金を合法的に少なくすることができます。
同様の方法で投資信託に投資をして280万円の運用益が出た場合には、56万円ほど納税が必要になる上、その20年で216万円納税が少なくなっていますので、いかに有利かがわかると思います。
運用方法
次に運用方法ですが、確定拠出年金の投資方法は、結果的に毎月定額を購入していくドルコスト平均法と同様の方法になるため、長期的な資産形成にはぴったりです。
ドルコスト平均法について詳細は省きますが、毎月同じ金額を購入するので、投資信託の購入について、市場の相場が高い際には少ない口数、安い際には多い口数を購入できるためリスクが低い購入方法です。ドルコスト平均法で購入して、途中解約できないので配当等の利益も再投資すると、複利効果で資産が増えることになります。
投資に回して減ったら損という考え方もありますが、確定拠出年金制度を利用した場合、少し減ったくらいなら、税金や社会保険料が減る分損は出ず、1%でも増えていれば普通預金にあったことと比較すればよいのではないかと私は考えています。
公的な年金以外に、老後資金の確保については国がDCやDBを推奨しており、自身でも考えていく必要があります。その際、普通預金などで寝ているお金にも働いてもらい、自分で老後資金を確保するという考え方も大事だと思います。
監修者紹介
税理士法人総合経営サービス 植松 伸
下町生まれの税理士の植松伸です。
税理士になる前は建設系の労働組合で働いていたので、建設業等の許認可や健康保険事務組合の知識もあり、それらの業務を弊社グループ内へつなぐことも大事にしています。
趣味は観賞魚飼育で、現在自宅に水槽が10個あります。
魚を眺めたり、水の音はとてもリラックスできるのですが、水槽の掃除等のメンテナンスに時間がかかるので、ちょっと増やしすぎたと反省する毎日です。
本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。